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「北は取り払われるべきがん」「物心ついたときから金日成主席讃えること教え込まれた」 脱北者の川崎英子さん講演 

「北は取り払われるべきがん」「物心ついたときから金日成主席讃えること教え込まれた」 脱北者の川崎英子さん講演 

平壌市内の「万寿台の丘」に立つ故金日成主席と故金正日総書記の銅像(共同)

 戦後の帰国事業で北朝鮮に渡った在日朝鮮人2世で、2003年に脱北後に日本国籍を取得した川崎英子(ペンネーム・韓錫圭)さん(74)の講演会が3日、山梨県笛吹市石和町八田の映画館「テアトル石和」で開かれた。川崎さんは「世界でいま一番取り払われなければならないがんは北朝鮮」と話し、金日成時代から世襲された独裁体制を批判した。

 講演はロシア人監督が北朝鮮で撮影したドキュメンタリー映画「太陽の下で」(23日まで)の上映後、観客の質問に川崎さんが答える形で行われた。

 トロリーバスを大勢の市民が押すシーンについて、川崎さんは「区間中に停電が起き、電気の通る場所まで押している。ありふれた光景です」と北朝鮮の暮らしを説明した。

 さらに「物心ついたときから、金日成主席らを讃えることを教え込まれる。子供でも思っていることを正直に言うことを怖がる」と話した。

 反体制的な行動をした人らを銃殺する公開処刑に月に2、3回。一般市民も強制参加させられるという。川崎さんは「抵抗できなくなるまで痛めつけた後に銃で撃つ。恐くて直視できなかった」と振り返った。

 川崎さんは京都で生まれ、昭和35年に北朝鮮に渡った。炭坑都市でトラック運転手をしていたが、「実情を世界に伝える必要がある」と2003年3月、家族を残し単身で中国に脱北した。翌年8月から日本に移り、関東地方に在住。講演などを通し、北朝鮮の現状を伝えている。

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