ニーズ減った?図書大幅縮小 ウィングス京都、蔵書7万→2万冊に
京都市は新年度、男女共同参画社会の関連資料を収集するウィングス京都(京都市中京区)の図書業務を大幅に縮小する。図書情報室の約半分を有料の市民ギャラリーに転用するためで、約7万冊の蔵書を約2万冊に絞り、貸し出し業務は終了する見通し。ギャラリー使用料を定める条例改正案が市議会に提出されており、利用者から「男女共同参画に特化した図書室は他にないのに」と困惑の声が上がっている。
図書情報室は1994年、ウィングス京都の開館とともにできた。女性問題や男女平等教育、性暴力やジェンダーに関連した図書や映像、雑誌などを中心に所蔵している。市男女共同参画推進課によると、2015年度の貸し出し冊数は約3万冊で、最多だった98年度の約7万8千冊と比べ4割程度に落ち込んだ。
そこで市は約半分に当たる約240平方メートルに市民ギャラリーを新設する計画を打ち出した。専門性の高い資料を残し、その他は市立図書館や大学に譲渡する。残した資料は閲覧のみとし、雑誌や新聞の取り扱いはやめる。貸し出し業務の終了などにより、システム維持費や人件費約500万円を削減できると見込む。
情報室を訪れた東山区の女性(61)は「地元の図書館とは中身が全然違うので、とても困る。専門書は高額なので借りられて助かっていた。なぜここにギャラリーなのか」と憤る。西京区の会社員秋吉康浩さん(39)は「会社から近く、雑誌を借りに来ていたので残念。お薦め本の紹介を見て社会問題を知るきっかけになっていた」と話した。
条例案が可決されれば、市は今年5月に図書情報室を閉めてギャラリー設置工事を始め、9月中旬の開設を見込んでいる。同課の寺井一郎課長は「新規利用登録もピークの半分になっており、図書のニーズが減っている。ギャラリー利用者に男女共同参画に関心を持ってもらえるような取り組みを進める」と話している。
【 2017年03月04日 08時10分 】