第40回日本アカデミー賞授賞式が3日、港区のグランドプリンスホテル新高輪で行われ、映画『シン・ゴジラ』が最優秀作品賞と最優秀監督賞を含む最多7冠に輝いた。そのほか音楽賞以外の技術部門を総なめにして、他を寄せ付けぬ圧勝となった。
【写真】長谷川博己、石原さとみ、市川実日子ら『シン・ゴジラ』キャスト集結!
『エヴァンゲリオン』シリーズの庵野秀明が総監督・脚本、『進撃の巨人』シリーズの樋口真嗣が監督・特技監督を務め、『ゴジラ』国内シリーズとしては約12年ぶりに製作された本作。現代日本に出現したゴジラが、戦車などからの攻撃をものともせずに暴れる姿を活写し、邦画実写作品としては『永遠の0』(2013)以来に興行収入80億円を突破する大ヒットを記録した。
日本アカデミー賞協会・岡田裕介会長は「どこかの国と同じように間違えないようにしたいと思います」と先日行われた米アカデミー賞授賞式で作品賞が誤ってアナウンスされたハプニングを引き合いに笑いを誘いつつ、最優秀作品賞を発表すると、主演の長谷川博己ら『シン・ゴジラ』のキャスト・スタッフは互いに顔を見合わせ、握手をして喜びを分かち合ってから壇上へ。
庵野監督はスケジュールの都合で欠席したため、最優秀監督賞に続けてスピーチすることになった樋口監督は「みんな怒ってませんか? 大丈夫ですか?」と戸惑いつつ、「毎日、過酷な状況で映画を作っているスタッフのみんなにもいつかこういう時が来るよって声を大にして言いたいと思います。みんな頑張ろう!」とエールを送り、感謝。
内閣官房副長官の主人公・矢口蘭堂を演じた長谷川も「皆さんちょっと引いている気がしたんですけど、大丈夫ですか?」と心配しながら、「特撮映画とか、こういう怪獣映画で作品賞って今までなかなかなかったんじゃないかと思います」と感慨深げ。岡田会長は発表の際に「頑張って日本映画を支えていきましょう」と呼び掛けていたが、「この映画の一つのテーマでもあるみんなで力を合わせて何かを倒すというのは、先ほど岡田会長が言っていたことにつながるんじゃないかと思います」と喜んだ。
英語交じりで話すカヨコ・アン・パタースン米国大統領特使という難しい役に挑戦し、優秀助演女優賞を受賞した石原さとみは「庵野秀明さんが書かれた脚本が本当に面白くて、一文字一文字本当に魅力的で、それをわたしが汚してしまうんじゃないかと震えていたんですけど」と重圧を吐露しながらも、「庵野さんに最後にカヨコが石原さんで良かったと言っていただけて涙が出ました。ゴジラに関わったこの2年間、胃が痛い毎日だったんですけど、それが今日、こういう場で終わることができて救われました」と安堵の表情を見せた。