年末からずっと響いている咳。
その咳のせいでアバラが昇天したというのに、まだこの話には続きが作られていたのだ。
一時は治ったかと思われた「咳」これがぶり返してしまったのだ……。
長引く咳
2016年の年末から地味に続いていた咳。
1月中旬には顔のパーツが取れるかと思うほど、咳とくしゃみがいっしょくたに出る、発作のような咳になり、病院へ行くもなかなか良くならず、気がつけば、アバラにヒビ。
咳をする度に力持ちの大阪のおばちゃんが「なんでやねん!」と鋭いつっつきを入れているかのような痛みに、切実にコールドスリープを祈る。
ちなみに、こう書くと冗談じみて聞こえるが、実際は右を向いて寝ることも、洗濯物を干すことも、一番酷いときは車のハンドルを左に切ることすらままならない程痛いので、骨というのは大切な物なのである。カルシウム……。
そんな咳が2月に入りようやく良くなってきた……なんて思っていたら、再び復活。
どうやら「話す」「運動する」「エアコンをかける」「寝る」「起きる」といった、気管に何らかの負荷がかかるようなことがあると発作的に出る様子。
それも、肺から出るような咳ではなく、喉がイガイガと……そう、水なしで星の砂を飲み込んだような微細な痛みで咳が出るのである。
病院へ
さすがにこれはヤバイ。
私のアバラのライフも0だ。
というわけで近所で有名な、循環器呼吸器内科へと。
その病院、患者一人一人をえらく丁寧に見てくれると評判で、3時間待ちなんて当たり前らしい。
だが、私は熱があるわけでもないので、とかく朝一番にその病院へ行ってみたところ……。
46番目ですね。
と、受付のお姉さんに言われる。
恐ろしい。
病院が始まって3分しか経っていなかろうに、すでに長蛇の列。
結局診察が始まったのが14時近くだったので4時間近く待つことになったのだが(その間一度帰宅して、掃除して飯食ってるけどね)、そこで色々検査などをした結果「咳喘息」との病名を頂戴したのだ。
咳喘息とは
風邪の後等、咳が続いた後に、さらに続く咳。
乾いた咳が特徴で、喘息のようなヒューヒューゼーゼーがなくて、気管支拡張剤やステロイドが有効。
喘息の一歩手前であることも。
とまぁ、千夜的解釈で言うと「咳して気管とか肺とか喉が傷ついてしまい、そこがクセのように炎症を起こし、いつまで経っても発作のような咳が治まらず、下手をすると喘息になるという厄介な病。
そう言えば、子供の頃も咳風邪ひいた後、いつまで経っても咳だけがゴホゴホ出ていたが、あれもそうだったのかもしれない。
3割が喘息にバージョンアップするということなので、運が良かった。
先生曰く、発作的に咳が出るということと(風邪などだとコンコンコンコン……とずっと続くが、咳喘息はコンコン、コンコン、コココオエッ!! となった後はしばらく落ち着く)、寝ているときに大体2回ほど発作のように咳がでる。
と、ドンピシャな私の病状。
もちろん、話したり、運動した後なんかも咳が出る。
というわけで、ここから咳喘息の治療へと移行することになったのだ。
治療は吸入薬
咳喘息の治療はステロイドと気管支拡張剤の吸引薬が一番効くとのことで、私に出されたのはシムビコート。
因みに、脳がアレな私。
シムビコートを何度も「シコムビート」と言い、軽く恥をかくが、それよりも「吸引器使ったことない」と言ったがために、練習用のおもちゃの吸引器を渡された方が恥ずかしかった。
おもちゃの吸引器で何度か練習したにも関わらず、恐らく吸引のしかたが半端だったのだろう。効果が出始めたのは3日後。
と、思いきや、どうやらこのシムビコート。副作用を抑えるためにか、効果がゆっくりなので、効き始めるのに3日ほどかかるらしい。
吸引器やステロイドと聞くと恐ろしい気がするが、喘息になるとしゃれにならないくらい苦しいし、ってか、死人が出たりするし、ステロイドを飲むよりも気管支にダイレクトにお届けした方が副作用も少なくて済むので、心配せずに使った方が良いだろう。
副作用
治ったと思ってもしばらくは継続が必要なので、使い切るコトが大切なのだが、実は予想もしなかった副作用が……。
元々自律神経失調症で、神経過敏な私。
以前ホクナリンテープという気管支拡張テープを使ったことがあったのだが、交感神経を刺激し気管支を拡張させるとかで、手が震え心臓バクバクし、なんというか、「卓球の試合中、あと一歩で勝てるときの興奮」が無駄に襲ってきたのだ。
綿sが戦うべきは目の前にあるおでん待ちの大根であって、なんの試合もしていないのになにを興奮しているのだと、震える手を押さえてキッチンでへたり込んでいたのだが、今回も気管支拡張剤が入っているため、やや手が震える。
ただ、ホクナリンテープの時ほどではなく、気にしなくても大丈夫な位なのだが、問題は蕁麻疹だ。
交感神経の切り替わりが下手で蕁麻疹が出てしまう私。
強制的に交感神経がONになり、そのご急激にOFFになるこの変動に、私のアセチルコリンが火を吹いていく。
咳出しますか? 蕁麻疹出しますか?
という、悪魔のような選択肢の中、私は蕁麻疹と咳の狭間で今だ戦っている。
余談
なんやかんやと、咳はまだ出てしまうが、蕁麻疹が出ないレベルにまで吸引の量を減らし夜中の咳き込みはなくなった。
完治まで1~2ヶ月以上。
下手をすると1年かかると言われているが、それでもどうにか落ち着いてきてはいる。
ご近所で評判のあの先生に診てもらって良かったと言うべきか。
なにより、初診で自分の胃と胆嚢にポリープがあることを伝えたいのに「ポリープ」という言葉が出ずに、「あの……ほら、突起。突起が胃と胆嚢にあるんですよ。肉の突起」と、突起突起連呼していた私に優しく、「ああ、ポリープですね」と言ってくれたあの先生は、やっぱり名医だと思う。