第30回研究大会(玉川大学大会)によせて

日本教育技術学会 会長  向山 洋一

 平成28年より小学校をはじめ新指導要領のもと日本の教育が大きく変化します。

 社会のグローバル化やIT(情報技術)化に対応できる力を育むため、小中高校に討論などを通じて主体的に学ぶ「アクティブ・ラーニング」が導入されます。

 小学校では5、6年生で英語を教科化し、高校では日本史と世界史を融合した新科目を設けるなど科目の大幅な見直しが行われます。同時に、教育現場でも早急な対応が求められています。

 8月に開催された中央教育審議会学習指導要領改定の方向性(案)には、3つの大きな柱が示されました。

1 何ができるようになるのか

2 何を学ぶのか

3 どのように学ぶのか

 どれもが極めて重要なポイントであり、いずれも教師は十分に理解しておく必要があります。

 生きて働く知識技能の育成とともに、未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力の育成は、新しい時代を生き抜くための現代教育の課題です。

 今から約30年前、本学会は、随想的・スローガン的「研究」があふれている現状を打破すべく生まれました。出来るだけ、明確で具体的な言葉による研究をしよう、骨太で子どもの事実が存する日本の教育実践を創ろう、と今もなお日本各地で志高い教師の手によって様々な実践が生まれています。

 具現化された理論とともに、理論に支えられた実践が集まる学会が、日本教育技術学会です。

 今回の玉川大学で開催される本学会は、最新の中央教育審議会で出された日本の方針をもとに、全体会・分科会における授業実践提案にて具体像が提案されることと思います。

 昨年度の静岡大会では、科学的根拠にもとづいた論文を検索し、その論文を日々の教育活動にどのように生かすのか、そういった具体的な方法の提案と論文も出されました。

 様々な視点で提出された教育論文は、新たな教育実践を創るうえで貴重な足がかりとなっています。

 今回の学会が、今後の日本の教育の転機の一つとなるよう、全国からの様々な意見や提案を心より楽しみにしています。

                                                              会長 向山 洋一