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ヴィッセル神戸移籍が決定。ルーカス・ポドルスキのここを見ろ

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ヴィッセル神戸のルーカス・ポドルスキ獲得が決定した。欧州の頂点にまで辿り着いたドイツ代表を支え続けた功労者でありながら、ビッグクラブでは結果を残せなかった男。彼に対しては、恐らくそういった見方が多いはずだ。実際、バイエルンやアーセナル、インテルといったビッグクラブを渡り歩きながらも彼は「エース」の称号を得ることは出来なかった。


しかし、若き日の華麗な点取り屋としてのプレースタイルを捨て、優秀な副官へと変貌した選手からは学ぶことが少なくない。異国情緒を感じさせる神戸の地で、彼は何を見せてくれるのだろうか。

 

ポドルスキを生んだ「歴史」

 


Photo credit: pixel0908 via Visualhunt / CC BY-ND

ドイツが不屈のメンタルで「ゲルマン魂」として恐れられた時代の終焉と共に、ルーカス・ポドルスキは台頭する。10代でケルンの王子様となったストライカーは、フェルナンド・トーレスやウェイン・ルーニー、クリスティアーノ・ロナウドといった歴史に名を刻むことになる選手達と共に、EURO2004の注目選手となった。
 
しかし、10代の頃フェルナンド・トーレスと同様の輝きを放ったポドルスキが、彼のように「神の子」となることはなかった。
 
ストライカーとしてのスピード、決定力だけでは評価されない時代に移り変わる中で、ドイツ代表は改革に着手。中央には本職がMFのゲッツェや、左右でもプレー可能なミュラーが起用されることも増えるなど、純粋なストライカーの需要は失われていく。
 
FWに求められるものが「得点」ではなく「試合をコントロールすることを助ける」ことに移り変わっていく中で、ポドルスキという選手も変化を受け入れていく。

 

アーセナルやドイツ代表では基本的に左WGのポジションでプレーしながら、的確なポジショニングでボールを受ける。パスサッカーにおいて「大外のスペースでボールを収め、時間を作ることが出来る」ポドルスキの存在は地味ではあるものの、重要なものとなった。

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Photo credit: Ronnie Macdonald via Visual Hunt / CC BY

当然、エデン・アザールのように外から相手をスピードに乗ったドリブルで切り崩すことは出来ない。それでも、コンビネーションプレーの起点になることが出来る的確なキープとアシスト能力、更に内側に切り込んでのミドルシュート。1トップを孤立させない中央への飛び込みを備えたドイツの王子様は、知らぬ間にチームに欠かせない「縁の下の力持ち」になっていた。特にジルーのようなポストプレー能力に優れたCFとの組み合わせは絶妙で、彼の近くに飛び込みながらゴールに絡んだ。

 

ここを見ろ①:強烈な左足という伝家の宝刀

 

ルーカス・ポドルスキの左足は、世界中のストライカーが羨むほどの精度と威力を兼ね備えている。体勢を崩していても、狭いスペースでもボールを捉えることが出来る技術によって、彼のシュートは威力を保つことが出来る。

以前、記者にクリスティアーノの右足か、メッシの左足のどちらが欲しい?」と聞かれた際、彼は「クリスティアーノの右足だね。僕は自慢の左足を持っているから」と答えた。その言葉は誇張ではなく、彼の左足は世界屈指のものだ。(動画① 1分2秒~)

動画①

背後から来た浮き球を正確に蹴り込んだアーセナル時代のボレーシュートは、技術と破壊力を兼ね備えた絶品だ。全速力で走りながらでも、彼は貪欲にフルスイングでシュートを狙うことが出来る。(動画① 1分20秒~

ボディバランスの良さも、エリア内で最大限に発揮される「ストライカーとしての武器」だ。後ろから来たボールに触れることなく、綺麗に回転することによって力を生み出したこのシュートは「助走することなく」威力を生み出してしまった。

動画②

インテル時代の練習では、このように外に流れながらの強烈なシュートも見られた。全力でスイングしながら、アウトサイドにボールを当てることによって相手DFとGKを完全に置き去りにしている。(動画②)

サイドでの起用を可能にしたポドルスキの「隠れた武器」が、中距離からのミドルシュートでもあった。縦に突破することが得意ではない分、内側に入ってのシュートは大きな武器になる。

狭いスペースでもフルスイングすることによって威力を生み出せるポドルスキのシュートは、相手GKにとっては厄介なものになる。

狭いところからでもセービングが難しい高さへと蹴り込む技術は、エリア内でゴールを生み出す鍵になる。どんな状況でもボールに当てにいくのではなく、狭い位置でも足を振り抜く。それこそがシュートの威力を保つ鍵であり、難しい状況でもゴールを生み出す。

 

ここを見ろ②: 得点を生み出す、圧倒的な判断速度

 

31歳になったルーカス・ポドルスキは、若き日の圧倒的なスプリントを失った。しかし、それでも彼のストライカーとしての経験は「受ける技術」によって相手DFを置き去りにすることが出来る。アーセナル時代のチームメイトであるカソルラに「怪物のような判断速度」と称賛された彼の頭脳は、ドイツの「ボールを持つ時間を極限まで減らす」スタイルによって磨かれた。

動画③

ガラタサライでも、徹底して意識しているのは縦パスの勢いを殺さないことだ。全速力で相手を振り切るのではなく、ボールを受けながらスピードに乗りやすいトラップを意識する。ターンでも抜け出した場面でも、徹底してポドルスキはファーストトラップで「パスの速度」を保ちながらシュートに繋げる。相手DFよりも速く判断することによって、スピードで勝負する前の段階で優位な状況でボールを受けることが出来るのだ。 (動画③)

 

ここを見ろ③:左サイドからのアシスト

 

ポドルスキは左ウイングでプレーする時期が長かったのもあり、そこからのアシストも高精度だ。主に得意とするのは、低い弾道の鋭いクロスを合わせるパターン。(動画④ 2分11秒~)

動画④

ファーサイドやマイナス方向へと強烈なボールをグラウンダーで届けるだけでなく、速攻の場面では味方の目の前でバウンドするようなボールを送り込むことも出来る。GKとDFの間にボールを送るときには、そちらの方が処理しづらいからだ。シュートと同じく、スピードに乗った状態で強烈なキックが蹴れるという非凡な才能をクロスにも活用している。

 

ポドルスキは、Jリーグに噛み合う?

 

ルーカス・ポドルスキという選手は度重なる挫折を経て、純粋なストライカーであることを諦めながら這い上がってきた。中距離からのミドルシュートや、周りをフリーにするためのフリーラン、サイドでの絶妙なキープとコンビネーションプレー。チームの中で戦術的な役割を徹底的に遂行することで、彼はチームの中で欠かせない選手となった。

トルコの地で本来のポジションであるストライカーに戻った今も、ウイング時代に求められた的確な判断と幅の広いプレーが彼を支えている。

中距離からのミドルシュートと飛び込んで点で合わせるようなシュートを得意とし、得意な形が比較的限られていたフォルランと比べれば、ポドルスキは前線であればポジションを問わずにフィット出来る柔軟性と、周りの力を引き出せる判断力を兼ね備えている。Jリーグにおいて求められる柔軟性を持つ彼ならば、面白い補強になるのではないだろうか。

世界のトッププレーヤーのプレーを日本で観ることができる。サッカーファンにとって、これでまた一つJリーグを観る楽しみが増えたのは間違いない。彼のプレーをこの目で見る日が、今から待ち遠しい。

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About yuukikouhei

yuukikouhei
結城康平: DEAR Magazine 編集部で「KNOW」カテゴリ中心に編集、企画担当。やりたい事だけは沢山あるので、Dear Magazineと共に色々なことに挑戦していきたい。ジャンル問わずなんでも書く系。サッカー批評、Qolyなどに寄稿経験有り。今一番欲しいものは、新しいノートパソコンと可愛い小動物を飼える環境。好きなアーティストはエジンバラ出身のBlue Rose Code。

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