米軍は、北朝鮮の体制転覆を目指す「作戦計画5015」を2015年に策定している。これは、米軍の特殊部隊が正恩氏を急襲・排除すると同時に、北朝鮮の核・軍事施設など約700カ所を精密誘導(ピンポイント)爆撃で破壊するものだ。
ところが、複数の機密情報を総合すると、現在準備が進められている作戦計画は、これとは異なることが分かってきた。柱となるのは「正恩斬首作戦」と「朝鮮人民軍司令部へのピンポイント空爆」だ。
最重視されているのは、正恩氏の死亡を明確に記録して、北朝鮮国内と国際社会に「正恩体制が完全に終わった」ことを伝えることだ。米軍としては、正恩氏の居場所を特定し、誘導ミサイルで爆死させるのが最も手っ取り早いが、これでは遺体の確認が難しい。
国際テロ組織「アルカーイダ」の最高指導者、ウサマ・ビンラーディン殺害時と同様、あくまで、ネービー・シールズなどの米軍特殊部隊が正恩氏の居場所に突入して、息の根を止める作戦なのだ。
ピンポイント空爆も、北朝鮮国内数カ所に点在する朝鮮人民軍の指揮命令系統に絞った「限定空爆」にして、正恩氏の断末魔の反撃を断固阻止するという。
北朝鮮が実戦配備している弾道ミサイルの多くは、TEL車両(移動起立発射台)から発射できるため、すべての軍事施設を無力化するには約700カ所にミサイルを撃ち込む必要がある。これでは、相応の準備が必要で、軍事行動の大規模化・長期化も避けられない。
そこで、新たにコンパクトな作戦計画が立案された。裏を返せば、いつ実行されてもおかしくない。トランプ政権の本気度を映している。