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就職ために性上納した女子大生、大韓民国を告訴…映画『偽善者たち』
2015年11月18日09時50分[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
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キム・ジンホン監督(左)と映画『偽善者たち』のヒロインで女子大生役を演じた女優のソン・ウンジン。(写真=映画会社メイプラス) |
『偽善者たち』は個人が国を相手に起こした訴訟を通じて、不正と腐敗が蔓延した社会権力層の素顔を水面上に引き出す。これに無情な現実、青年失業に苦しむ20・30代のいわゆる「三放世代(生活が苦しくて恋愛・結婚・出産をあきらめた世代)」を克明に描く。できれば向き合いたくない、大韓民国の現実が映画にそのまま現れている。映画を手がけたキム・ジンホン監督(53)は「普段から不正腐敗事件に対して少なからず関心を寄せていた。特に、青年層の問題を本格的に扱いたかった」と演出意図を明らかにした。
キム監督はもともと映画『奥様は16歳。』などの映画を製作したプロデューサーだった。メガホンを取ったのは今回が初めてだ。キム監督が青年失業と不正腐敗のつながり扱った映画を制作するにあたり、一人の女子大生との出会いが大きな影響を及ぼした。これが映画のモチーフに反映された。
「シナリオを準備している時に知人の紹介である女子大生に会いました。『就職に必要な推薦書を書いてほしいなら性上納しなければならない』という教授の強い圧力を受けた後、人生が変わってしまった学生を見て既成世代として限りなく恥ずかしかったのです。『三放世代』という単語の中で絡み合っている複雑な意味を知るに至りました」。
過激な素材の他にもう一つ目を引くのは、「討論映画」フォーマットが採用されていることだ。映画では女子大生の国家訴訟事件をテーマに生放送テレビ討論が繰り広げられる。弁護士・小説家・評論家・俳優などさまざまな社会的地位を持つ人物が登場して女子大生の告発に対して賛否討論を行う。「我が国の法というのは、社会の指導層にどれほど寛大か知らないからそうなのだ」など生々しいセリフが行き交うテレビ討論場面が30分以上続いて緊張感を高める。
「事件をもう少し写実的に描写するためにはテレビ討論という形式がぴったりだと考えました。事件を見る各界各層の視線が登場します。映画一本で社会は変わりはしないと思いますが、社会指導層といわれる人々が社会的弱者を相手に横暴な振る舞いを日常的に行っている現実を一度くらいは扱ってみたいと思っていました」
映画『偽善者たち』は今月5日、青少年観覧不可等級映画として初めて国会憲政記念館で試写会が開かれた。国会議員を含め数十人の観客が試写会を訪れて観覧した。26日に劇場で公開される予定だ。
「国会試写会を準備していたときに、国会関係者が『この映画を国会で上映したらおそらく驚く人が多いだろう』と言っていました。私はただ、20・30代の若者たちにたくさん見てもらえたらと思います。今の大変な現実はあなたたちのせいではない。だから不条理と妥協せずに勇気を持ってほしいという言葉を伝えたい」。