男の人と違って、女は美容室に行くたびに髪を切らなくてもいい。前回美容室に行ったのは一月の初めだったが、その日もカラーとトリートメントだけにした。
「次回はカットしてもいいかもね〜」
担当の美容師(男)が言った。
そう、私の髪の毛はだいぶロングになっている。ロングヘアというと素敵であるが、カットをさぼった結果伸びてるだけなので、妹から「犬みたい」と言われる髪型である。ドッグヘア。
だいたい3ヶ月に一回のペースで美容室に行くが、タイミング的にその日は切るべきであった。
「いや、本当は今日切ろうと思ってたんですよ〜」
だが切らない。なぜならデブだからである。
「気づいたらすごい太ってたんですよ!」
ケープをかけてもらいながら、意気揚々と話す私。14歳の頃から通っている千葉県の美容室なのでリラックスしているのもあるが、この時点で、私は自分の体重増加をさして深刻に考えていなかったのだ。
「年末年始で体重増加しちゃって!びっくりですよ〜。痩せてから切ろうと思うんで、カットは次回ですね〜今ショートにしたら顔がすごい大きく見えるからっ」
あははは!美容師二名と私みんなで笑った。
あのころ地球は平和であった。
自分は数週間後には自動的に痩せている、という根拠なき自信に満ち溢れていたし、新年が明けて街の人々の表情もこころなしか爽やかだった。いいことしか起きなそう。翌日から体重グラフは減少の一途をたどるに違いない。あるのは希望だけ。
体重減少の明るい未来に一ミリの疑いも抱いていなかったのだ。
さて、2ヶ月である。
皆さんお察しのとおり、体重は減らない。ビクともしない。体重計が壊れてるんじゃないかと思うほど安定している。高収入の安定は嬉しいが、高体重のそれは困る。
しかも髪はどんどん伸びる。もっさりとしていよいよ耳の垂れた犬のようになってきた。切りたい。一刻も早くカットしたい。シャンプーも長いと面倒なのだ。それでなくてもお風呂が嫌いなのに。
もうだめだ、美容室を予約しよう。
私は観念した。
痩せるのを待っていては、一生髪を切れないかもしれない。
2017年最初の希望に満ちた日々が嘘のようである。
それに考えてもみよ。痩せてないのに再登場するのは確かに恥ずかしい。が、美容師さんだって忙しい。毎日大量のお客さんの接客をしているのだ。先日の会話の内容もきっと忘れているだろう。
まったく私は自意識過剰なのだから。
苦笑しながら美容室予約アプリを開いた私に、こんなメッセージがポップアップで現れた。
「・・・・・」
ちなみに言うまでもないが最初の「あまりわからなかったけど」はお世辞である。
15年も通い続けている素晴らしい美容室の、あまりに細やかな接客が仇となる。
(恥ずかしい・・・)
なお、このメッセージを見てしばらく放置していたら、狙っていた日の予約が埋まってしまった。したがって、まだ美容室には行っていない。
髪がボーボーのデブという美容的に最低ランクの日々を過ごしている。
いやいやまさか緑くん、次のカットは2018年なんて恐ろしすぎるよ。
ayakoさんのダイエット日記はつづく。
Sweet+++ tea time
ayako