大阪府豊中市内で小学校の開校を目指す学校法人「森友学園」(大阪市淀川区)。開校計画への助力を求め、自民党参院議員の鴻池祥肇(よしただ)元防災担当相の事務所に陳情を繰り返していた。「土地価格の評価額を低くしてもらいたい」--。陳情記録には、事務所の担当者の反発を書きとめたと思われる記述も残っていた。「ウチは不動産屋ではありませんが!」
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2013年8月。小学校開校を目指すものの、用地費用の確保などで足踏み状態だった学園の籠池泰典理事長は、兵庫県議を通じて鴻池氏の事務所に接近する。当時、森友学園は豊中市内の国有地を一定期間は借り、その後は購入する方向で検討していたが、交渉妥結に向けた後押しや、賃借料を「まけて」もらえるように陳情してきたという。
大阪府内で学校を新設する場合、府の設置認可を得るにはあらかじめ用地を確保しておかなければならない。しかし、国有地の貸借について近畿財務局は「設置が認可される見通しが必要」との立場で、その間で籠池氏は揺れていた。そこで鴻池氏の事務所を頼る。「ニワトリとタマゴの話。何とかしてや」。事務所の担当者の感想だろうか、陳情記録の脇には「どこが教育者やねん!」という書き込みがあった。
14年1月31日。籠池氏から国有財産を管理する近畿財務局との交渉は前向きに進んでいるが、賃料と購入額が予算をオーバーしているとの相談が寄せられた。陳情記録には、こう記されている。「賃料年間を3500万円から2500万円に」「売却予定額15億円を7億~8億円に、が希望」
露骨な要望に腹に据えかねたのか、陳情記録には担当者が書いたと思われる一文があった。「不動産屋と違いますので。当事者間で交渉を!」
頻度は減ったが、昨年3月14日にも籠池氏は鴻池氏の事務所に相談を寄せている。「小学校用地の件、近畿財務局の対応に不満。15日に本省(財務省)へ行く。アポ等お願いしたい」。事務所側はこの要望を断った。入手した記録の上では、これを境に陳情はない。【藤顕一郎】
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