(cache) 生豆を「ハック」したコーヒーを飲みに、SoMa地区のサイトグラスコーヒーへ|WIRED.jp

SAN FRANCISCO | US

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PHOTOGRAPH BY BRINSON + BANKS

生豆を「ハック」したコーヒーを飲みに、SoMa地区のサイトグラスコーヒーへ

かつてブームを巻き起こしたサードウェイヴコーヒー・ムーヴメントの根底にあったのは、日用品としてのコーヒーの「当たり前」を疑い、新しいものを生み出そうと「ハック」を試みたガレージ発の起業家精神だった。サンフランシスコの「サイトグラス・コーヒー」も、そうしたスタートアップマインドに溢れたひとつだ。雑誌『WIRED』日本版VOL.12(2014年6月発売)より、再編集して掲載。

TEXT BY HIROKI MARUYAMA

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    1/6客はカウンターの周りを360度回ることができる。PHOTOGRAPH BY BRINSON + BANKS

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    2/6吹き抜けの2階からは階下を眺めることもできる。オフィスや試作キッチンも丸見えで、すべて“オープン”に設計されている。PHOTOGRAPH BY BRINSON + BANKS

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    3/6ブルーボトルコーヒーがサンフランシスコで流行らせた、日本ではお馴染みのハンドドリップ式。注文した順に一つひとつ淹れられていく。PHOTOGRAPH BY BRINSON + BANKS

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    4/6試作キッチンにある試験用焙煎機では、新しい豆が入荷されるたびにテストされ適切な焙煎時間が決められる。PHOTOGRAPH BY BRINSON + BANKS

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    5/6生産農家の名前が記されたコーヒー豆はサイトグラスならではのもの。その農家のところへ持っていくと、彼らは周りの農家にも自慢してくれるという。PHOTOGRAPH BY BRINSON + BANKS

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    6/6テック企業も多いSoMa地区の人気スポットだ。PHOTOGRAPH BY BRINSON + BANKS

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客はカウンターの周りを360度回ることができる。PHOTOGRAPH BY BRINSON + BANKS

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吹き抜けの2階からは階下を眺めることもできる。オフィスや試作キッチンも丸見えで、すべて“オープン”に設計されている。PHOTOGRAPH BY BRINSON + BANKS

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ブルーボトルコーヒーがサンフランシスコで流行らせた、日本ではお馴染みのハンドドリップ式。注文した順に一つひとつ淹れられていく。PHOTOGRAPH BY BRINSON + BANKS

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試作キッチンにある試験用焙煎機では、新しい豆が入荷されるたびにテストされ適切な焙煎時間が決められる。PHOTOGRAPH BY BRINSON + BANKS

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生産農家の名前が記されたコーヒー豆はサイトグラスならではのもの。その農家のところへ持っていくと、彼らは周りの農家にも自慢してくれるという。PHOTOGRAPH BY BRINSON + BANKS

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テック企業も多いSoMa地区の人気スポットだ。PHOTOGRAPH BY BRINSON + BANKS

モリソン兄弟は、ふたりとも高校卒業後、地元オレゴン州のカフェでバリスタになった。いずれ各自で店を開きたいと夢見ていたのだが、ブルーボトル・コーヒーでの仕事を通してお互いの方向性が一致。共同で「サイトグラス・コーヒー」を創業した。

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一足先にサンフランシスコにやってきたジェラードは、最初期のブルーボトルで働いていた。そこで初めて焙煎機を操作し、焙煎前のグリーン・コーヒー(生豆)に触れる機会に恵まれた。「ブルーボトルでのあの経験がなかったら、サイトグラスはなかった」と彼らは口を揃える。

サイトグラスには、ブルーボトルとは異なる特徴があるという。多くの人にとってコーヒーは、飲み物のことを指す。しかしそれは最終形態であって、そこに辿りつくまでにさまざまなプロセスを経ている。「最後にお湯を注ぐときには、すでに味はほとんど決まっているんだ」

ファウンダーのジャスティン(写真左)、ジェラードのモリソン兄弟。PHOTOGRAPH BY BRINSON + BANKS

彼らはグリーン・コーヒーを“ハック”する。ダイレクトトレードで仕入先にこだわり、農家の情報を公開して、顧客を啓蒙する。彼らは毎年各地の農家を訪れて、家族のような強い信頼関係を結んできたという。

「農家を訪れると、毎回自分の誕生日みたいな気分になるんだ。親兄弟から家族全員、みんなが集まって、ぼくらを歓迎してくれるからね」

サイトグラスが提携している農家のほとんどは独占契約だ。しかも平均市場価格の4倍近い価格で豆を購入している。さらに、年々品質が向上するようにアドヴァイスをして、実際に翌年もっと質が上がれば、より高い価格で豆を買うことまで約束して帰国する。その繰り返しによって最高品質のグリーン・コーヒーを世界各地から仕入れている。

最初は「なぜそんな手間がかかるようなことをわざわざするんだ」と契約農家を非難する農家もいた。だがその豆が、毎年サイトグラスから高価格で購入されていくのを見て、彼らも次第にその栽培方法を真似するようになっていくという。サイトグラスにとって、コーヒーの“ハック”は、味の根本を決める生豆の攻略からスタートする。

サイトグラス・コーヒー|SIGHTGLASS COFFEE

創業者
Justin Morrison|ジャスティン・モリソン(共同創業者)
Jerad Morrison|ジェラード・モリソン(共同創業者)

創業年
2009年

特色
Squareの創業者ジャック・ドーシーが投資。ブルーボトルコーヒーでバリスタやロースターを経験した兄弟が創業。1号店では、焙煎機や試作キッチン、豆の梱包作業まで、すべてのプロセスを“オープン”にしている。

所在地
1号店はサンフランシスコのSoMa地区に2009年にオープン。
Adress:270 7th Street San Francisco, CA 94103 United States

INFORMATION

『WIRED』VOL.12 「コーヒーとチョコレート 次世代テック企業家たちのニュービジネス」

ブルーボトルコーヒーが「コーヒー界のアップル」と呼ばれるまでになったその背景や魅力に迫るとともに、コーヒーとチョコを“ハック”した6つのスタートアップを紹介。そのほか、宇宙物理学者・松田卓也博士と考える「2045年問題」やORIGAMI 康井義貴のヴィジョン、巨大バイオ企業モンサントの新しい「オーガニック野菜」などをフィーチャー。

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