北朝鮮の朝鮮中央通信は1日、金正男氏殺害に猛毒の神経剤VXが使われたとのマレーシア警察の捜査結果について「荒唐無稽な詭弁だ」とする記事を配信した。ただVXによる毒殺は米国や韓国が主張しているとし、マレーシアへの批判を避けた。
記事は「専門家の主張」などとして、実行犯の女が犯行直後に手を洗っただけで無事だったのはVXの特徴に合わず、正男氏を搬送した救急隊員も中毒になっていたはずだと指摘。化学兵器禁止機関(OPCW)が指定する施設にサンプルを送り分析すべきだと主張した。
また米国や韓国が事件を巡り「ヒステリックな反共和国(北朝鮮)謀略」を繰り広げているとし、米韓が「政治的陰謀」を続けるなら「より強力な自衛的措置を講じるだろう」と警告した。
記事は、死亡したのは「わが国の国民キム・チョル」だとし、正男氏の名前には言及していない。マレーシアへの批判を避けたのは、同国で北朝鮮との外交関係を見直す動きが出ていることなどを考慮したためとみられる。(共同)