多くの大泉洋ファンの方がそうである様に、僕も水曜どうでしょう(以下どうでしょう)から好きになったクチです。
真田丸も終わり、そろそろ「どうでしょう」来るか?と思っていた矢先に今作の新シリーズ撮影開始のニュース。
こりゃまた暫くお預けか...と落胆するどうでしょうファンも多いのではないでしょうか?
ちょいちょい、ちょい待ち。
「どうでしょう」の洋ちゃんも良いけど、俳優大泉洋もなかなかだよ。
なによりこのシリーズは面白いから、そうガッカリしなさんな。
2011年/日本
監督:橋本一
出演:大泉洋、松田龍平、小雪、西田敏行、高嶋政伸、松重豊、ほか
上映時間:125分
78点
ざっくりあらすじ
ここは札幌・ススキノ。
俺(大泉洋)はいつも行きつけのBARで、相棒の高田(松田龍平)とオセロを興じながら依頼を待っている。
そこにコンドウキョウコと名乗る女から依頼の電話が入った。
簡単だと思われたその依頼を果たすと、俺は拉致され雪の中に埋められた。
命からがら抜け出した俺は、拉致した男達、そしてコンドウキョウコへの怒りを抑えられなかった。
そこにまた彼女からの依頼。
感情と仕事は別だ...こうして捜査に乗り出した俺たちは4つの殺人事件とぶつかる事となる。
あなたに恋をしてみました
初めて会った日から 何か違う
トキメキを感じていたの
今作の主人公は探偵。
居場所はBAR。
そして物語は主人公の語りを織り交ぜながら進行していく。
まるでコントの様にハードボイルドの世界のセオリーに順じています。
もう頭には北方謙三が浮かびそうなものです。
しかし主役を演じるのが大泉洋。
北方謙三はおろか大沢在昌も浮かびません。
彼はハンフリーボガードや松田優作の様に立っているだけでハードボイルドが匂い立つ様な渋い役者ではありません。
それこそがこの映画の面白いところです。
ハードボイルドで行きたいのに、どうしてもコミカルになってしまうという。
ハードボイルドをコメディでコーティングした面白さです。
通常のハードボイルド探偵とは寡黙な男ですが、
まぁ、この映画の探偵さんは良く喋る。
そして笑うは怒るは泣き出すはと感情むき出し。
こうなってくると完全にコメディ映画として観る態勢が整います。
ところが、今作はそこでもう一度鑑賞者を裏切ります。
基本コメディタッチで描かれるのですが、基本の探偵ものとしてのストーリーは決して軽くなく物語が進むにつれ状況は深刻になっていきます。
鑑賞後には面白いコメディを観た!見応えのあるストーリーを観た!という2つの印象を残してくれます。
ハードボイルドとみせかけてコメディとみせかけてやっぱハードボイルド!
上手い見せ方だなぁと感心して調べると
監督は橋本一監督。
有名どころではTVドラマ、相棒や臨場の監督さんです。
でも僕はそれらのドラマは観ていません。
ああ!あの監督か!と驚き面白さを納得したのは
小栗旬主演の「BORDER」を撮った監督であるという実績です。
あれは近年稀にみる傑作ドラマでした。
未見の方は是非チェックしてみて下さい。
そしてもう一つ、脚本を手掛けているのが古沢良太!
皆さんご存知「リーガルハイ」「デート~恋とはどんなものかしら~」の脚本家さんです。
何回繰り返して観ているか分からないくらい、大好きなドラマです。
この2人がタッグを組んだ映画ですよ。
面白くない訳がありません!
残念ながら新作3では監督は代わるみたいですが、脚本は古沢さん続投のようです。
どうでしょうファンの方、ちょっと待ってみようじゃありませんか。
私 待~つ~わ
いつまでも 待~つ~わ
素晴らしいのは制作陣だけではありません。
役者も素晴らしいです。
俳優大泉洋の今作における凄さ。
それは、先にあげた感情的でコミカルな部分だけではありません。
それは「どうでしょう」を観ていた人なら分かりますが、素の大泉洋が持ち合わせたものです。
しかし今作で魅せるのはシリアスな大泉洋の凄さです。
物語が後半になればなるほど、シリアスな彼が出て来ます。
素の彼とのギャップもあってかよりシリアスに魅力的に映ります。
ラスト間際、電車内で叫ぶ彼には凄みすら感じました。
そしてアクションのキレ。
おとぼけた探偵ではありますが意外と腕っぷしは強く
格闘場面も多く見られます。
ここでもなかなかなアクションを見せてくれます。
また、裸のシーンではそれを納得させるような体をつくって来てます。
やるやん!洋ちゃん!
もちろん魅力的なのは大泉洋だけではありません。
今作は脇が凄く良いです!
謎の美女を演じる小雪も良いし、その元亭主演じる西田敏行も良い。
僕が好きなのはヤクザ桐原組の若頭相田を演じる松重豊
と、花岡組のピアスヤクザを演じる高嶋政伸。
2人とも出演シーンこそ少ないものの、そのビジュアルと雰囲気は今作の素晴らしいスパイスになっています。
そして何といっても、高田!
松田龍平演じる高田も洋ちゃんにひけを取らないくらい魅力的。
正直、松田龍平という俳優はあまり好きではありませんでした。
というより、彼の出演作で好きな作品があまりなかったのです。
(アヒルと鴨のコインロッカーは大好きです)
今作で一気に彼が好きになりましたね。
探偵の相棒兼運転手の高田。
普段ボーっとしていますが空手の師範代を務める程腕っぷしが強く、ここぞという時に活躍する相棒。
そして運転手なのにしょっちゅうエンストを起こすボロいビュートを愛車とする、ここぞという時に活躍しない運転手。
良いですよねぇ~~
探偵といえば松田優作の「探偵物語」で、その息子の松田龍平が探偵映画の相棒役って
良いですよねぇ~~
大泉洋の隣にはミスターこと鈴木貴之こそがふさわしいと思っていましたが、松田龍平も悪くないですね。
制作陣、役者が素晴らしい事はわかったけど、肝心のストーリーについて全然触れてないけどどうなの?
愚問ですね
脚本を古沢さんが書いてるんですよ、そして原作は東直己の「ススキノ探偵シリーズ」ですよ!
面白くない訳がないじゃないですか!
...ごめん、シッタカした。
東なんちゃらさんも知らないし、ススキノシリーズって1冊も読んだことがありません。
たぶん、面白いでしょう。
読んだ人がいたら教えて。
とにかくストーリーは抜群に面白いです。
多少、先が読めるところはありますが、それ以上に人間の物語が面白い!
どう面白いのか?
探偵映画のストーリーを語る程、僕は野暮ではありません。
鑑賞者には語る必要はないでしょうし、未見者にはこれ以上の前情報無しで観て貰いたいです。
だから書きません。
そしてシリーズ2作目「探偵はBARにいる2ススキノ大交差点」も1作目にヒケを取らないくらい面白いです。
是非、1作目2作目と続けてご鑑賞下さい。
そうしたらきっと、このシリーズの3作目の為か...
水曜どうでしょう、ちょっと待ってみようかなって気持ちになるはずです。
さぁ、どうでしょう藩士のみんな
いざ劇場!
集え(魂心書体)
追伸、これが終わったら今度こそ「どうでしょう」に帰って来て欲しいですね。
僕が1番好きなのはユーコンで2番はマレーシアジャングル探検。
新作は久しぶりにサイコロシリーズで深夜バスに苦しめられる洋ちゃんが観たいなぁ。
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最後にこの映画を好きな方にお勧めしたい作品を紹介して終わります。
・探偵はBARにいる2
・アフタースクール
・アイアムアヒーロー