こんにちは。歯科衛生士のナカタ コマチです。
以前、朝の歯磨きは朝食後ではなく「起きてすぐ」にしましょう。という記事を書きました。
ようするに、虫歯や歯周病の原因となったり、心臓や脳神経の疾患にも関係する細菌(歯垢)は、唾液の分泌が極端にすくなくなる睡眠中に大量にふえるため、
起きたらまずその菌を洗い流すために歯をみがくことが、口腔環境だけでなく全身の健康のためにもとてもたいせつですよ、という話です。(くわしくはぜひ上記の記事をご覧ください。)
この記事でポイントなったのは「唾液」の存在でした。
そして今回の記事の主題である「口臭」においても、唾液はとても重要なポイントになります。
まずは以下のグラフをご覧ください。
これは口臭の原因となる物質の濃度を、一般的な1日の流れに沿って示したものです。
まず、もっとも口臭がキツくなるのは起床時であることがわかりますね。
つぎに口臭が強くなるのが空腹時、そして飲酒時とつづきます。
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起床時、空腹時に口臭がキツくなる理由
じつは起床時、空腹時の口臭の原因も「唾液」にあります。
唾液には以下のようにさまざまな働きがあるのですが
- 歯の再石灰化の促進
- 歯の脱灰予防
- 消化の手助け
- 刺激から口に中を守る などなど
忘れてはいけないのが、天然の抗菌剤・口臭抑制剤とまでいわれる、その殺菌・抗菌効果です。
ふだんはこの唾液の殺菌・抗菌効果により、不快な口臭は抑えられています。
ですが、唾液の分泌が少なくなってしまう時間帯(睡眠中や空腹時)には唾液の抗菌剤としての恩恵が受けられません。
これが起床時、空腹時に口臭がキツくなってしまう原因です。
意外? じつは食後は口臭は少ないんです
さきほどのグラフをもう一度ご覧ください。
起床時や空腹時にあがった口臭の原因物質の濃度が、食後にはガクッと下がっていることに気がつきましたか?
そうなんです。
なんとなく食後って、食べた物のニオイなどで口も臭っているのかなーなんて思ってしまうのですが、じつはそんなことはなくて、食後の息はそれほどニオイません。
(ニンニクやニラなど、食べ物そのもののにおいは別です。)
これがまさに唾液の力なんです。
食事中にモノを噛んで唾液がたくさん分泌されることで、天然の抗菌剤・口臭抑制剤としての本領を存分に発揮してくれるんですね。
朝食を抜くということは…
「朝はできるだけゆっくり寝ていたい」
「朝はお腹が空かないからコーヒー1杯でじゅうぶん」
こんな方もたくさんいると思うのですが、少なくとも「口臭」という点から見ると、これらの習慣は危険です。
さきほどご覧いただいたグラフにあるとおり、朝食を抜くということは、起床時の口臭のピーク値をそのあと午前中いっぱいまで、ひきずってしまうことを意味するからです。
朝食を食べて唾液を分泌することで、通常であれば下げることができる「口臭の原因物質濃度」を、朝食を抜いてしまうことによって下げることができなくなってしまうということです。
もしあなたのまわりに、特に午前中「口が臭うなぁ…」と感じる方がいたら、今度それとなく聞いてみてください。(なかなか難しいですが ^^;)
その方は「朝食を食べない派」かもしれません。
理想的な朝食は?
よく噛む必要のある食べ物であれば、それだけ唾液の分泌も多くなりますので理想的です。
麺類よりはパン。パンよりもご飯。といったようにです。
ですが、なによりもまずは「食べること」が第一です。
多かれ少なかれ、口を動かし咀嚼することで唾液はでますし、まったく食べないことに比べれば、どんな朝食であっても不快な口臭の程度は格段に下がります。
わたし自身、寝坊してしまって朝食を食べる時間がほとんどないような時はバナナ一本でもいいので食べるようにしています (^^)
まとめ
朝ごはんを食べずに家を出て仕事場へいくということは、
「起床後」の口臭 + 「空腹時」の口臭
のいわばダブルパンチです。
こちらの記事でも紹介しましたが
【関連記事:「日本人は口臭がキツイ」「口がくさい」と外国人から認識されている件。】
「ニオイ」は人間の本能にダイレクトに働きかけます。
たとえ服装、顔立ち、言葉づかい…すべてに気を配っていても、きつい口臭を放った瞬間、それまでの好印象も台無しになってしまうかもしれません。
良くも悪くも、ニオイにはそれほどの威力があると感じます。
まわりから「あの人の口臭って…」と思われないように、またなによりもご自身の爽やかな1日のためにも、朝食をとる習慣をもっていただければと思います。
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