生活保護行政のあり方検討会の開催
小田原市では、生活保護担当職員が不適切な表記が記されたジャンパーを着用し業務に従事していたこと等を捉え、本市における生活保護行政についての検証と今後の改善方策を取りまとめるため、有識者の参画を得て、生活保護行政のあり方検討会を、次のとおり開催します。
第1回会合
日時 | 平成29年2月28日(火)午後1時20分~3時20分 |
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場所 | 小田原市役所 3階 議会全員協議会室 |
主な内容 | 生活保護行政の状況確認、問題点の洗い出し |
小田原市長 加藤 憲一 冒頭あいさつ
有識者の皆様、本日はお忙しい中、ご出席いただきありがとうございます。それぞれ大変お忙しいお立場にもかかわらず、快くお引き受けいただきまして、心からお礼申し上げます。
生活保護行政のあり方検討会につきましては、本市の生活保護担当職員が不適切な表記が記されたジャンパーを着用し、業務に従事していたこと等を捉え、本市における生活保護行政についての検証と今後の改善方策を取りまとめるため、有識者の皆様のご参画を得て、開催するものです。
このたびの件の問題は、不正受給の可能性があたかもすべての保護受給者にあるかのような認識をもたれる不適切な表現が記されたジャンパーを製作し、生活保護受給者を含めた市民の前で着用していた事実、そして10年にわたってこのジャンパーが着用され続け、その行為に対する内部での見直しや異論が出てこなかったことにあると考えており、生活保護制度を利用する権利を抑制することにつながるのではないかという当たり前の感覚が欠如していたと言わざるを得ません。
そこで、このことの深い反省に立ち、生活支援の現場に携わる職員だけの問題とせず、組織全体として、市民一人ひとりに寄り添う職務を遂行するための意識付けを行うとともに、生活困窮者をとりまく諸問題の改善により一層取り組んでいかなければならないと考えております。
本検討会における、検証及び改善方策の内容については、私たちの日々の仕事の仕方、ケースワークの取組方、市民の皆さんとのコミュニケーションのあり方など、色々なレベルのものが提示されることになると思いますが、それを一つ一つ間違いなく実行に移していく。どこから見てもおかしくない、生活支援業務の体系、業務のあり方を、この機を捉えて構築してまいりたいと考えております。
そして、このたびの件を、小田原市全体が、「いのちを大切にする小田原」であるということをしっかりと外部に発信し、私たちの胸にも刻みつけていく、強力なモメンタムにしていかなければなりません。
現在、高齢化の進展と相俟って、生活保護が必要な方々が増え続ける状況の中、その背景や温床となっている格差社会、分断社会、貧困化にどう対処していくのか。行政の役割として、地域に雇用の場を確保し、経済活性化への取組を進め、支援が必要な方々をお互い様の気持ちで支え合い、経済格差が貧困の連鎖に繋がる現状を断ち切っていく。このような取組を進めていくことが、このたびの件に対する、より本質的な対応にもなると考えています。
有識者の皆様には、ご専門のお立場から、ご意見を十分に述べていただくとともに、本市職員とともにご議論いただき、本市の進むべき適切な方向付けをお願いしたいと存じます。
本検討会は、年度末までの短期間に集中して行うことになります。お忙しい中、誠に恐縮ですが、なにとぞよろしくお願い申し上げ、簡単ではございますが、私のあいさつとさせていただきます。
生活保護行政のあり方検討会につきましては、本市の生活保護担当職員が不適切な表記が記されたジャンパーを着用し、業務に従事していたこと等を捉え、本市における生活保護行政についての検証と今後の改善方策を取りまとめるため、有識者の皆様のご参画を得て、開催するものです。
このたびの件の問題は、不正受給の可能性があたかもすべての保護受給者にあるかのような認識をもたれる不適切な表現が記されたジャンパーを製作し、生活保護受給者を含めた市民の前で着用していた事実、そして10年にわたってこのジャンパーが着用され続け、その行為に対する内部での見直しや異論が出てこなかったことにあると考えており、生活保護制度を利用する権利を抑制することにつながるのではないかという当たり前の感覚が欠如していたと言わざるを得ません。
そこで、このことの深い反省に立ち、生活支援の現場に携わる職員だけの問題とせず、組織全体として、市民一人ひとりに寄り添う職務を遂行するための意識付けを行うとともに、生活困窮者をとりまく諸問題の改善により一層取り組んでいかなければならないと考えております。
本検討会における、検証及び改善方策の内容については、私たちの日々の仕事の仕方、ケースワークの取組方、市民の皆さんとのコミュニケーションのあり方など、色々なレベルのものが提示されることになると思いますが、それを一つ一つ間違いなく実行に移していく。どこから見てもおかしくない、生活支援業務の体系、業務のあり方を、この機を捉えて構築してまいりたいと考えております。
そして、このたびの件を、小田原市全体が、「いのちを大切にする小田原」であるということをしっかりと外部に発信し、私たちの胸にも刻みつけていく、強力なモメンタムにしていかなければなりません。
現在、高齢化の進展と相俟って、生活保護が必要な方々が増え続ける状況の中、その背景や温床となっている格差社会、分断社会、貧困化にどう対処していくのか。行政の役割として、地域に雇用の場を確保し、経済活性化への取組を進め、支援が必要な方々をお互い様の気持ちで支え合い、経済格差が貧困の連鎖に繋がる現状を断ち切っていく。このような取組を進めていくことが、このたびの件に対する、より本質的な対応にもなると考えています。
有識者の皆様には、ご専門のお立場から、ご意見を十分に述べていただくとともに、本市職員とともにご議論いただき、本市の進むべき適切な方向付けをお願いしたいと存じます。
本検討会は、年度末までの短期間に集中して行うことになります。お忙しい中、誠に恐縮ですが、なにとぞよろしくお願い申し上げ、簡単ではございますが、私のあいさつとさせていただきます。
座長(井手 英策 氏) 冒頭あいさつ
今回の問題が複雑なのは、不正受給を厳しく取り締まるべきだという納税者の声と、生活保護受給者の権利を守れという声、いわば、ふたつの正義がぶつかりあっている点だ。
不正受給は納税者から見ればムダ使いの極みだ。だからこそ、「不正受給はクズだ」というジャンパーを来ていた職員にたいして、よくやったという声があがる。だが反対に、多くの受給者が不正を働いているかのような間違った雰囲気が作られ、これに人権団体が反発の声をあげ、人間どうしの対立が深まっていく。
私はこう考える。多くの日本人が生活不安におびえながら、なけなしのお金をやりくりして、税を払っている。このお金が正しく使われるよう求める声があがるのは当然のことだ。だが、今回の犠牲者は、不正をまったくおこなっていないにもかかわらず、長期間にわたってあのようなジャンパーを来た職員の訪問を受け、屈辱的な思いをした生活保護受給者だった。彼らの声なき声に耳を澄まさなければならない。市職員の行為を安易に正当化してはならない。これが私の基本的な理解、議論の出発点である。
しかし、ケースワーカーを非難して、とかげのしっぽ切りをし、それで幕引きを図るわけにはいかない。ケースワーカーがああいう行動に出た背景にメスを入れなければ答えは見えてこないからだ。
彼らの役所のなかでの立場はいかなるものだったのか。耐え難いような労働環境はなかったのか。苦しみの叫びをあげるチャンスはあったのか。生活支援課も含めた全庁的な風土、雰囲気に問題はなかったか。もしかすると、生活保護受給者に対する態度と同じような態度が別の場所で市民に向けられているかもしれない。あるいはジャンパーこそ作らなくとも、同種の問題が全国のあちこちで起きているかもしれない。
この会議の焦点はあくまでも生活保護行政のあり方だ。だが、この問題が突破口となり、より住民目線に近い、質の高いサービスを効果的に提供する行政、納税者が納得できる社会への道筋がひらかれるかもしれない。幸い、従来であれば、行政が非常に嫌がるような、素晴らしいメンバーがそろった。小田原市の本気さを感じたし、だからこそ背水の陣の思いで、座長の役目を引き受けた。小田原市民はもとより、全国の生活保護受給者、ケースワーカー、そして多くの日本人が希望を感じられる会議となるよう、この場にいる全員のみなさんに活発なご意見とご協力をお願い申し上げる。
不正受給は納税者から見ればムダ使いの極みだ。だからこそ、「不正受給はクズだ」というジャンパーを来ていた職員にたいして、よくやったという声があがる。だが反対に、多くの受給者が不正を働いているかのような間違った雰囲気が作られ、これに人権団体が反発の声をあげ、人間どうしの対立が深まっていく。
私はこう考える。多くの日本人が生活不安におびえながら、なけなしのお金をやりくりして、税を払っている。このお金が正しく使われるよう求める声があがるのは当然のことだ。だが、今回の犠牲者は、不正をまったくおこなっていないにもかかわらず、長期間にわたってあのようなジャンパーを来た職員の訪問を受け、屈辱的な思いをした生活保護受給者だった。彼らの声なき声に耳を澄まさなければならない。市職員の行為を安易に正当化してはならない。これが私の基本的な理解、議論の出発点である。
しかし、ケースワーカーを非難して、とかげのしっぽ切りをし、それで幕引きを図るわけにはいかない。ケースワーカーがああいう行動に出た背景にメスを入れなければ答えは見えてこないからだ。
彼らの役所のなかでの立場はいかなるものだったのか。耐え難いような労働環境はなかったのか。苦しみの叫びをあげるチャンスはあったのか。生活支援課も含めた全庁的な風土、雰囲気に問題はなかったか。もしかすると、生活保護受給者に対する態度と同じような態度が別の場所で市民に向けられているかもしれない。あるいはジャンパーこそ作らなくとも、同種の問題が全国のあちこちで起きているかもしれない。
この会議の焦点はあくまでも生活保護行政のあり方だ。だが、この問題が突破口となり、より住民目線に近い、質の高いサービスを効果的に提供する行政、納税者が納得できる社会への道筋がひらかれるかもしれない。幸い、従来であれば、行政が非常に嫌がるような、素晴らしいメンバーがそろった。小田原市の本気さを感じたし、だからこそ背水の陣の思いで、座長の役目を引き受けた。小田原市民はもとより、全国の生活保護受給者、ケースワーカー、そして多くの日本人が希望を感じられる会議となるよう、この場にいる全員のみなさんに活発なご意見とご協力をお願い申し上げる。
会議資料
第2回会合
日時 | 平成29年3月4日(土)午後1時00分~3時00分 |
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場所 | 小田原市役所 7階 大会議室 |
主な内容 | 問題点の洗い出し、問題点の特定 |
第3回会合
日時 | 平成29年3月14日(火)午後1時00分~4時00分 |
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場所 | 小田原市役所 6階 601会議室 |
主な内容 | 特定した問題点の議論、改善方策の検討 |
第4回会合
日時 | 平成29年3月25日(土)午後7時00分~9時00分 |
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場所 | 小田原市役所 3階 議会全員協議会室 |
主な内容 | 改善方策の検討、取りまとめの検討 |
生活保護行政のあり方検討会 出席者名簿
猪飼 周平 | 一橋大学大学院社会学研究科 教授 |
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○井手 英策 | 慶応義塾大学経済学部 教授 |
櫛部 武俊 | 一般社団法人釧路社会的企業創造協議会 副代表 |
森川 清 | 弁護士 |
和久井 みちる | 元生活保護利用者 |
神名部 耕二 | 小田原市企画部副部長 |
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下澤 伸也 | 小田原市企画部行政管理課長 |
小澤 寛之 | 小田原市企画部職員課長 |
遠藤 佳子 | 小田原市市民部副部長 |
杉山 博之 | 小田原市福祉健康部副部長 |
栢沼 教勝 | 小田原市福祉健康部生活支援課長 |
- ※○印は座長
- ※一般傍聴の定員は30名(予定)ですが、傍聴希望者が席数を超えた場合は抽選とし、会合の開始15分前に実施します。傍聴希望者は、会合の開始時間15分前に集合してください。
- ※報道関係者は、会合の開始10分前までに会場にお越しください。傍聴証を交付します。撮影(映像・写真)は冒頭のみとし、有識者のうち和久井みちるさんの撮影は不可とします。