合羽橋の老舗料理道具店「飯田屋」(http://www.kappa-iida.com/)の6代目、飯田結太氏がイマドキの料理道具を徹底比較。今回は「パン切りナイフ」。ホームベーカリーのブームとともに売り上げが急伸、2016年からは、各社から刃にこだわった製品が発売されているという。そこで、人気のパン切りナイフ10本を徹底検証する。
こんにちは、飯田結太です。最近、ボリュームたっぷりのサンドイッチをよく見かけます。サンドイッチ専門店も増えていますし、パナソニックの「GOPAN」をはじめ、各家電メーカーからさまざまなホームベーカリーが発売されてから、自宅でパンを焼く人も多いようですね。ここ数年はまさにパンブーム! 私もパンは大好きで、サンドイッチもよく作るので、パン切りナイフを持っています。
今、パン切りナイフはプロの世界でも注目されています。それはサンドイッチ専門店が増えたことが背景にあるようですが、特に2016年夏からは顕著で、一般的な包丁よりも売り上げが伸びていて、すっかり根付いたような感じさえします。
今話題のボリュームたっぷりのサンドイッチを一般的な包丁でカットしようとすると、具がはみだしてしまったり、パンがきれいに切れていなかったりとなかなかうまくいきません。ボリュームサンドイッチは断面のきれいさが命ですよね。プロにとってはもちろん、SNSなどで紹介するならきれいに切って見せたいもの。だからパン切りナイフが必要なんです!
パン切りナイフを選ぶポイントは刃の形と長さ
では、包丁とパン切りナイフはどこが違うのか。
ひとことでいうと、刃の形状と長さが違います。一般的なパン切りナイフは、刃が先端からアゴの部分まで波状になっています。刃のとがっている部分をパン生地にひっかけるように入れて手前に引くように切ると、スパっと、美しい断面に切れるようになっています。
次に刃の長さです。パン切りナイフは、魚をさばくときに使われる家庭用の柳刃包丁とほぼ同じ長さがあります。一般的な三徳包丁の刃の長さは18cm前後。それに比べて、家庭用の柳刃包丁は24cm前後と長くなっていますが、パン切りナイフの刃の長さも21~24cmはあります。これは、ワンストロークでパンを切れるようになっているため。刃の先端からアゴまでを使って引き切りにすると、断面がつぶれずにきれいに切れるのです。
ここ数年、パン切りナイフも進化してきました。最近増えてきたのが、刃のアゴに近い部分はギザ刃で、だんだん刃のギザギザがゆるやかになり、先端はギザギザがまったくない平刃になっているタイプ。
ほかにも、ギザ刃と平刃を交互に施したものや、先端のギザ刃がこまかく、徐々に粗いギザ刃になっていくものなど、各社でパンの切れ味を研究した独自のデザインが増えているのがここ数年の傾向です。
では、自分に合っているパン切りナイフはどうやって選べばいいのか。
それは、まず好みのパンを決めることが大切。食パンなどのソフトなパンが好みならば、ギザ刃や波状の刃がゆるやかなタイプが最適。反対に、フランスパンなどのハードパンが好みなら、ギザ刃がとがっているものを選びましょう。特にハードパンの場合はパンくずが出やすいのですが、適したパン切りナイフを選べば、パンくずもほとんど出ずに、後片付けも簡単です。それぞれに適したナイフはどれなのかは後半で検証します。