こうした中、メーカーはローズウッドの代わりを提案している。高級ブランドの米ギブソンは、メイプル(カエデ)を高温処理してローズウッドのような焦げ茶色にした指板を一部製品で採用。米マーティンも合板を使う製品を増やした。
ただ、市場では伝統的な木材に対する信仰が根強い。例えば、冒頭の楽器店では「ブラジリアンローズウッドは油脂の含有量が絶妙で、粘りのある音になる」と説明。入手困難な希少材という以上の価値があると広く認められている。
ローズウッドを守る上で安心できる材料があるとすれば、ギターの需要が減少傾向にあることだ。経産省の統計によると、2015年の国内の「ギター・電気ギター」出荷本数は約13万7000本と、08年(約30万9000本)の半分以下になった。
ギターは指が痛くなるまで練習が必要で、しかも希少種の犠牲の上に成り立っている。既存の曲をミックスするDJや、パソコンにデータを打ち込んで本物の楽器そっくりの音で演奏させるDTM(デスクトップミュージック)の方がクールなのかもしれない。
copyright (c) 2017 Sankei Digital All rights reserved.