[PR]

 安倍晋三首相の靖国神社参拝(2013年12月)は憲法の政教分離の原則に反するなどとして、国内外の戦没者の遺族ら388人が、首相と国、靖国神社を相手に、今後の参拝の差し止めや1人1万円の賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁(松田亨裁判長)は28日、原告側の請求を退け、一審・大阪地裁にに続き憲法判断はしなかった。

 同様の集団訴訟は東京地裁と大阪地裁にそれぞれ起こされており、先行した大阪地裁は昨年1月に請求を棄却し、原告側が控訴していた。

■首相の靖国参拝をめぐる訴訟の経緯

1985年8月 中曽根康弘首相が終戦記念日に初の公式参拝

 92年   福岡、大阪両高裁が中曽根参拝を「違憲の疑い」

2001年8月 小泉純一郎首相が参拝。その後、06年まで6回実施

 04年4月 福岡地裁が小泉参拝を「違憲」

 05年9月 大阪高裁が小泉参拝を「違憲」

 06年6月 最高裁は小泉参拝を憲法判断せず。「神社に参拝する行為自体は、他人の信仰生活に圧迫、干渉を加えるような性質のものではない」

 13年12月 安倍晋三首相が参拝

 16年1月 大阪地裁は安倍参拝について憲法判断せず

 2月28日 大阪高裁は原告側の請求を退け、憲法判断もせず

※小泉参拝をめぐっては6訴訟が起こされ、地裁で8判決、高裁で7判決が言い渡された。福岡地裁と大阪高裁以外は憲法判断をしなかった