国有地管理の大阪航空局 ゴミ撤去費の算定経験なし

国有地管理の大阪航空局 ゴミ撤去費の算定経験なし
大阪・豊中市の国有地が学校法人に鑑定価格より低く売却されたことをめぐって、国土交通省は参議院予算委員会で、土地を管理していた大阪航空局にはゴミの撤去費用を算定した経験はなかったものの、小学校の開校予定が迫る中、これまでの公共事業で得た知見などを踏まえ、費用を算定したと説明しました。
この中で、国土交通省の佐藤航空局長は、大阪・豊中市の国有地が学校法人「森友学園」に鑑定価格からゴミの撤去費用として8億円余りが差し引かれて売却されたことに関連して、「土地を管理していた大阪航空局にゴミの撤去費用を見積もる知見や経験はあったのか」と指摘され、「撤去費用を算定したことはないが、国有財産法に基づき土地を管理し、地下の埋設物をよく知る立場にあり、見積もりを行う能力を有する技術系の職員もいたことから、見積もりを行った」と述べました。

そのうえで、佐藤局長は、去年3月にゴミが発見され、建設される小学校の開校予定がことし4月に迫る中、撤去費用の算定を第三者に依頼すれば手続きなどに時間がかかるため、大阪航空局がこれまでの公共事業での経験や知見を踏まえ算定したと説明しました。

また石井国土交通大臣は、「ゴミを掘り起こして運搬、処分するのは、従来の公共工事と同じであり、費用を積算する知見も経験もたくさんある。そういったものを活用してやっている」と述べ、撤去費用の算定は適正だったという認識を示しました。

ごみ撤去費算定の経緯

大阪・豊中市の国有地に関するごみの撤去費用の算定は、去年3月学校法人・森友学園から国に対して地中でごみが見つかったという連絡があったのを受けて始まりました。学園から連絡を受けた財務省近畿財務局からの依頼で、費用の算定は、土地を所有する国土交通省大阪航空局が行うことになりました。

大阪航空局は、平成22年に行ったこの土地のレーダー探査などの調査結果を踏まえて、ごみを撤去する区域は敷地全体の60%で、土の中に占めるごみの混入の割合を47.1%と設定しました。そのうえで、「工事積算基準」などに基づいて、土地の掘削や埋め戻し、処分場での作業などにかかる費用を計算して積み上げ、ごみの撤去費用はおよそ8億2000万円と算定しました。

これを受けて、近畿財務局は、去年6月土地の鑑定価格の9億5600万円から撤去費用を差し引いて1億3400万円で学園に売却しましたが、ごみが撤去されたかどうかについて、麻生副総理兼財務大臣は、衆議院予算委員会で、「すでに売却済みであり、実際に撤去されたかどうか契約上も確認を行う必要はないと考えている」と述べています。

一方工事で出たゴミの一部が、埋め戻されているのではないかという指摘が出ていることから、豊中市は、掘り起こされたゴミが適正に処理されているか調査するため、業者への聞き取りを進めています。