朴槿恵(パク・クンヘ)大統領に対する弾劾審判の最終弁論は27日に終了したが、それから最初のキャンドル集会がソウル市中心部の光化門で、また太極旗集会がソウル市庁前広場で3月1日に行われる。キャンドル集会は朴大統領の弾劾を、一方の太極旗集会は弾劾の棄却を求め、いずれも集会後には行進を予定している。ただ今回、太極旗集会側は初めて大統領府近くに向かう予定であることから、双方のコースが重なることも懸念されている。両集会とも主催者側は総動員を宣言している上に、憲法裁判所の決定も近づいていることから、どちらも神経が非常にピリピリしているようだ。そのため現場では何が起こるか予断を許さない状況だ。
今年の三・一節は98回目となる。1919年の3月1日、われわれの先祖たちは大同団結を訴え、日本による植民地支配に民族として抵抗したが、その崇高な精神を思い起こすのがこの三・一節だ。ところが今回はこの尊い日を迎えても国内では分裂と対立しか見られず、いつ衝突するかさえ分からない一触即発の状況が続いている。
ちょうど70年前の三・一節も同じような状況だった。国を取り戻してから最初の三・一記念式典が開催された1946年3月1日、民族主義を掲げる陣営と左翼陣営が別々に記念式典を開催した。翌年にはソウル市内で乱闘騒ぎが起こり、流血の事態にまで発展した。これが国連の信託統治に賛成する側と反対する側へと拡大し、国全体の分断につながってしまった。今も大統領の弾劾を求める集会とそれに反対する集会が毎週末に行われているが、これを見て(日本の植民地支配からの)解放後、二つの陣営が大規模なデモを行っていた当時を思い起こした国民も少なくなかった。今では海外の識者らからも「韓国の今の状況は70年前と非常によく似ている」という指摘が出始めている。このような見方は今や決して誇張とは言えなくなったのだ。
われわれはここ数カ月間、先行きが見通せない道を迷いながらここまでやって来た。政府は大統領から大法官(最高裁判所の裁判官)、憲法裁判所の裁判官、さらには閣僚までが空席あるいは代行体制で、国全体がただ慣性で動いているような状況だ。北朝鮮が新型の中距離弾道ミサイルを発射し、海外で金正男(キム・ジョンナム)氏を暗殺しても、また中国がTHAAD(米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル」)の配備に対してあからさまに報復に乗り出しても、あるいは米国で北朝鮮に対する先制攻撃が真剣に検討されている中でも、この国では「何とかなるだろう」という惰性、あるいは国の運命を平気で他国に委ねる他人任せの雰囲気に支配されてしまった。