高橋名人チルドレンよ、なぜ呼び出してくれなかったのだ?
私のツーコンのマイクは、常にオンにしておくと言ったのに
まぁ、いい
こうしてまた顔を見せてくれたんだ
細かい事は言いっこなしだ
さぁ、早いとこファミコンのコントローラーを握ってくれ
高橋名人チルドレンよ、時は確実に進んでいる
手始めに、そのシャネルズみたいなメイクを落とそうか
なんなら、その手首に付いたジャラジャラしたモノも外そう
君たちはもう、アムラーでもシノラーでもない
高橋名人チルドレンよ、流行など一瞬の夢だ
その煌びやかな幻は、まさに青いカセットのアイスクライマー
脇目も振らず氷を砕き、必死の思いでクリアしても
その先にあるのは、見覚えのある1面だ
そんな終わりの見えない無限ループに流されてもよいが、惑わされてはいけない
高橋名人チルドレンよ、年齢は気にしなくていい
年をとったら落ち着こうなんて、誰かが勝手に決めたルールだ
人様に迷惑をかけるのが、若さの象徴ではない
- ドラえもんドンジャラで、初めて役が揃ったトキメキ
- 夜通しプレーしたUNOで、最後の最後に来たワイルドドロー4後の握り拳
- 桃鉄で桃太郎ランドを購入した達成感
- パラダイス銀河を真似て踊った高揚感
こういった衝動を引っ括めたのが、きっと若さだ
それは年を重ねて枯れるものではない
何? そんなものは無くなってしまったって?
バカを言っちゃいけない
1度味わった感情は、消え去ることはない
大丈夫
今はコンクリートと同化して見えなくなっているだけだ
チュッパチャプスを舐めて息を吹きかければ、たちまち輝き直すはずだ
高橋名人チルドレンよ、無理に笑顔を振りまく必要はない
君の周りを囲む人達に、どうにかして合わせようとしなくていいんだ
その人のことが嫌いなら、嫌いなままでいい
ただ、距離を保つだけでいい
いがみ合い、足を引っ張り合う先に待つものは
チョロの首吊りだ
そんなドラマの結末は、これっぽっちも望んではいない
視聴率が20パーセントを越えようとも
そんな最後は見たくない
私が求めているのは「ぼかぁ死にぃましぇん」と叫び、顔中を分泌液まみれにしている中年の美しい泣きっ面だ
高橋名人チルドレンよ、これから先も生きていこう
確かに、月9のような毎日は続かない
ユージ・オダ主演ドラマのような、分かりやすい立身出世も無いかもしれない
でも、思い出してみよう
私たちが子供の頃に見ていた物語を
- キン肉マン ドラゴンボール ときめきトゥナイト
- お金がない 17才 101回目のプロポーズ
- グーニーズ バックトゥザフューチャー 星の王子 ニューヨークへ行く
そう、私たちはハッピーエンドで育った
途中で困難や挑戦があっても、最後は決まってハッピーエンドだ。
何? 人生そんなに甘くないって?
確かにそうかもしれない
でも、ノストラダムスだって世紀末の予想を当てられなかった
どうせ見通せない未来なら、あの日のハッピーエンドを描いてみたい
高橋名人チルドレンよ、私は喋りすぎた
君の希望通り、この辺でおいとましよう
でも、最後にもう1つ
しつこいようだが、忘れないでほしい
私が必要になったなら、ファミコンのツーコンを手に取ってくれ
私のマイクのスイッチは、常にオンだ
言葉を届けたい
26年間、失敗ばかりの人生だった
そこから10年間、死に物狂いで自分を取り戻した
溜めに溜めた思いがある
繋ぎ続けたストーリーがある
終わることのない想像がある
だから、呼びかけてほしい
その声が聞こえたなら、セーターを肩にかけ素足のまま革靴を履いて、君に言葉を届けよう
(初代ファミコンは素敵なゲーム機。僕らに不親切な分、想像力との相性はバッチリです)