現在位置:asahi.com>住まい>週刊朝日・AERAから> 記事 PR 注目マンション情報環境軽視の豪華議員宿舎 反対できない議員のホンネ週刊朝日 2008年2月8日号 参議院が都心の一等地に計画中の豪華議員宿舎に関して、またまたあきれた事態が明らかになった。当の入居対象者である国会議員の大多数がその計画に賛成か否か、態度を表明しないというのである。 「多額の税金を自分たちのために使うというのに、あまりの問題意識の低さに驚いてしまいました」 そう嘆息するのは、昨年3度にわたって参議院議員や候補者にアンケートを募った「新参議員宿舎を考える会」(以下、「考える会」)代表の梶浦淳代さんである。現職議員242人のうち、回答が得られたのは、わずか37人だったというのだ。 新宿舎は、老朽化したとされる参院清水谷議員宿舎(千代田区紀尾井町)に代わる施設。建設予定地が都条例で景観を守るよう指定された風致地区のため、かねて物議を醸していたのは本誌07年4月27日号でお伝えしたとおり。公共性が認められたり、都知事との事前協議を経たりなどしなければ、15メートルより高い高層建築はできず、現在の計画案では条例に抵触するからだ。しかも建設されると、江戸時代から存続する貴重な緑地の一部が失われてしまう。 前出の「考える会」はそれらに猛反発、反対運動を展開した。石原都知事も、 「議員の宿舎に絶対の公共性があるとはとても私は思えませんね」 と、反対の立場を明らかにしたのだが、参院側は今なお現在の予定地に固執しているという。 ならば、とばかりに「考える会」が当事者に意見を問うたのだという。ちなみに37人の回答は、建設計画に賛成は自民党の1人だけで、反対は25人。11人は態度を明確にしなかった。新宿舎を熱望する議員は、声を上げづらいということか。 前出の梶浦さんは、語る。 「直接お会いすると『とんでもない計画だ』と言ってくれる議員も、『この件ではお力になれない』と言う方が多い。議員の仕事は法律を作ることで、宿舎建設は役人の仕事だと言うのです。しかし、本音は、議員特権を放棄したくないのでしょう。政党の動きも鈍い。参院を押さえた民主党に期待していたのですが……」 ある大物参議院議員は、息を潜める同僚議員の心の内をこう代弁したという。 「議員特権にかかわる話だから、この問題で目立つと、役人ばかりか仲間内でたたかれ、孤立する。だから、声を上げたくても上げられないのです」 なんとも情けない話である。 |