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トヨタ新体制、キーワードは現場・グループ・合理化

2017/3/1 18:00
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 トヨタ自動車が1日、4月からの新たな経営体制を発表した。企業内学校出身で工場現場の経験が長い河合満専務役員(69)を副社長に起用し、グループの連携や経営体制の合理化にも力を入れる。IT(情報技術)企業の台頭など自動車業界を取り巻く環境が大きく変わるなか、「現場」「グループ」「合理化」の3つの「G」で勝ち残りを目指す。

トヨタ工業学園の卒業生と握手を交わす豊田章男トヨタ自動車社長(左端、2月23日、愛知県豊田市)

 「人は石垣という。皆さんも立派な石のひとつとなり、トヨタを支えてほしい」。トヨタの企業内学校である「トヨタ工業学園」が2月下旬に開いた卒業式。豊田章男社長(60)は中卒や高卒で入学して学んだ卒業生に語りかけた。この卒業式は「うちは現場でもっている会社」が口癖の豊田社長が大事にする社内行事のひとつだ。

 トヨタは現場重視の姿勢を示すため、学園OBの河合氏を2015年に専務役員に起用した。今年は取締役ではないものの副社長に昇格させる。学園OBの副社長への起用は初めてだ。学園OBでは現学園長の田口守氏(65)を専務役員に起用。同氏はモータースポーツ担当の「Gazoo Racing Company(GRC)」を受け持つ。

 グループ連携の強化も課題だ。トヨタはかつて本体の役員OBをグループ会社の幹部として送り込んできたが、ここ数年はやる気を引き出すために生え抜きの社長起用を拡大している。今年は日野自動車出身で16年からトヨタの常務役員を務める下義生氏(58)を日野の社長に起用。日野で生え抜きの社長が誕生するのはトヨタが子会社化した01年以降で初めてだ。

 経営体制では合理化を進める。「かつては数十人が居並び、議論が深まらなかった」(トヨタOB)という取締役会もスリム化を加速。6月の株主総会後の取締役は9人となり、現在より2人減る。代表権を持つ取締役は豊田社長と内山田竹志会長(70)の2人となり、1982年に現在のトヨタが発足してから最少となる。張富士夫名誉会長(80)は退任する。

 「IT(情報技術)企業や(電気自動車の)米テスラと渡り合うには経営のスピードを上げないといけない」(トヨタ幹部)。新体制で競争の激化に備えるが、社内やグループ内には先行きを不安視する声もある。今年6月で就任から8年を迎え求心力が高まっている豊田社長に近いとされる役員の重用だ。

 友山茂樹専務役員(58)は新規事業やコネクテッドカー(つながる車)に加えて新たに渉外・広報本部も担当し、GRCではプレジデントに就く。2つの本部長と2つのプレジデントを兼ねる形となる。人事などを担当してきた上田達郎常務役員(55)は専務役員に昇格し、新たに戦略副社長会やコーポレート戦略部も統括する。

 「多様な意見が経営に反映されなくなる」「本当に適材適所なのか」――。あらゆる企業ですべての関係者を満足させる人事を行うのは難しく、当然トヨタでもこうした意見が出る。トヨタ首脳に見解を問うと「否定的な見方が出るのは当然」との姿勢を示した上で自信満々に答えた。「人事を好き嫌いでやっているわけではない。結果は実力と実績で示す」

(名古屋支社 奥平和行)

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