今年は国産アニメーション100周年。
NHKで年末から企画が進行中の「ニッポンアニメ100」でも紹介された、国産初の短編アニメで現存する唯一のフィルムが1917年の『なまくら刀』である。
1917年ですよ!
1917年って大正6年ですよ。すごいですねぇ〜!
購読させていただいている父ロボ(id:titirobo)さんの記事で知ったのですが、その『なまくら刀』をはじめとする戦前の短編アニメフィルムが、今年いっぱいの予定でネット公開されています!
日本アニメーション映画クラシックス
東京国立近代美術館フィルムセンターが所蔵する、1917年から1941年までの64作品がデジタル化され公開されています。
その多くが10分前後のモノクロ短編フィルムです。
テレビが普及するのは第二次世界大戦後なので、当時は映画館で併映されていました。
1930年代頃まではまだ無声映画(サイレント映画)が主流で、映画館で活動弁士が解説しながら上映するというスタイルだったので、セリフはもちろん入っていません。(一部に音楽が入っている作品はあります)
戦前の作品なので、横書きの文字が左から読んだり右から読んだり、作品によってまちまちなので戸惑いますね。
童話を題材にしたものが多く、動物たちが生き生きと描かれている楽しい映像が沢山ありますが、だんだん戦争の影響も出てくるのが見て取れるので、歴史的資料としても大変貴重なフィルムです。
のらくろ
田河水泡のマンガ「のらくろ」のフィルムも公開されていました!
犬の軍隊マンガ『のらくろ』は戦前から大人気のキャラクターで、1970年にはTVアニメも制作されたので再放送をよく観てましたね。(のらくろの声は大山のぶ代でした)
セルアニメーションの制作工程
公開されているフィルムの中に、非常に興味深い作品がありました。
1937年の『色彩漫画の出来る迄』というタイトルですが、観てみたらセルアニメーションの制作現場を撮影したカラーフィルムだったのです!
いや〜、ビックリしました!
しかもセル彩色から背景画、フィルムのコマ撮り撮影に至るまで全てひとりで作業しているのです。
たった数分の短編アニメとはいえ、その膨大な作業量には驚きを禁じ得ません。
また、カラーアニメのことを「色彩漫画」と称していることも驚きです。
そういえば、私が子供の頃の1970年代にはまだ「アニメ」という言葉は普及しておらず、「テレビまんが」や「まんが映画」と呼んでいたんだった。
カラー映像作品が出始めたころの昔の映画は「総天然色」と宣伝されていたし。
よくよく見れば他のフィルムもほとんど「漫画」と冠しています。
まだ「アニメ」という言葉も「動画」という言葉も使われていなかった時代。
言葉の変遷も面白いですね。
そんな貴重なフィルムが観れる機会を逃すのはもったいないですよ〜。
ぜひ観てみてください!