【社説】中国政府と同じく民間企業ロッテに圧力をかけた韓国最大野党

 ロッテグループは昨日取締役会を開き、慶尚北道星州郡にある同グループ所有のゴルフ場を米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」配備のために提供することを正式に決定した。この結果を受け、早ければ今後3カ月もあれば実際にTHAADが配備される見通しとなった。配備に反対する中国で流通、石油化学、観光、文化などさまざまな事業を展開しているロッテとしては、今回の決定は非常に難しいものだっただろう。また韓国の最大野党「共に民主党」も27日、ロッテに対して敷地を提供しないよう圧力をかけていたことも伝えられている。共に民主党のこの態度は、民間企業に不当な圧力を加える中国政府と全く同じだ。

 今後、韓国政府は迅速にTHAAD配備を進める一方で、中国政府に対する説得にも力を入れなければならない。例えば先月米国を訪問した韓国大統領府の金寛鎮(キム・グァンジン)国家安保室長を中国に特使として派遣することも検討すべきだろう。もちろん韓国政府はこれまでも中国を説得する努力を続けてきたが、中国側がまともにとりあわなかったため成果は出ていない。しかしTHAADがあくまで北朝鮮のミサイルに対する防衛に特化したものであること、そして北朝鮮が核開発さえしなければ、THAADの配備は不要であることを中国にはしっかりと伝えていかねばならない。

 韓国と中国の間にはTHAAD以外にもさまざまな問題が存在する。両国は1992年に国交を樹立したが、それから25年間に貿易規模は40倍、人的交流は80倍にまで拡大している。中国に進出した韓国企業は2万3000社に達し、韓国に留学した中国人学生も5万人を超える。このように互いの利益を高め合ってきた両国が、THAADという一つの問題で関係をぎくしゃくさせるわけにはいかないだろう。また中国共産党の機関紙・人民日報の英語版姉妹紙・環球時報は先日「中韓両国はすでに不可分の関係となっているため(THAADの敷地を提供したロッテに対する)報復は中国にとってもろ刃の剣だ」という趣旨の慎重論も伝えている。同紙はロッテを通じて中国に多くの雇用が生み出されたことにも言及しているが、このような合理的かつ当然の見方をもっと中国で広めるには、最後まで全力で、また粘り強く説得を続けることが必要だ。

 これに対して野党は今なお「THAAD配備は次の政府で決めるべきだ」などと主張している。もし本当に次の政府でこの問題を取り扱うことになれば、米中両国からの激しい圧力におそらく韓国は耐えられないだろう。近く大統領選挙が行われる可能性はもちろん排除できないが、それでも安全保障問題だけは慎重に取り扱う知恵を持ってほしいものだ。

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