シーズ親子は2014-15年シーズンから韓国代表チームに合流した。当時の走行コーチは英国出身のベテラン指導者マルコム・ロイド氏(当時67歳)だった。このころまでは韓国代表チームの仲には問題はなかった。しかし、ロイド・コーチが昨年1月に病気で突然他界、今シーズン開始前に後任としてアラドゥ・コーチが選ばれてから確執が起き始めた。チーム内の序列ではアラドゥ・コーチの方がシーズ親子より上だ。しかし、48歳のアラドゥ・コーチより61歳のハンシュリー・シーズ・コーチの方が経験豊富で年齢も高かった。息子ファビオ・シーズ・コーチ(33)は血の気が多く、何かとアラドゥ・コーチと対立していたと言われている。大韓ボブスレー・スケルトン連盟関係者は「コーチ陣の対立は、ここ一日二日のことではなかった」と言った。「水と油」のような関係だった双方は、ウィスラーでの出来事をきっかけに完全に真っ二つになったということだ。
装備担当技術者2人を失ったことで、チームがこれほどまでに順位を落とすことがあり得るのだろうか。ボブスレー関係者は「担当者がシーズ親子だったらそれもあり得る」と話す。ボブスレーは前後がつながっている構造だ。この接続部分をどれだけ締めるかによってカーブを抜ける時の衝撃や速度が変わる。世界各地のコースの特性を研究し、接続部分の締め付け具合を変えなければならないと言うことだ。
ボブスレーはエッジの温度まで調節しなければならないほどデリケートな種目だ。エッジの温度が高いとボブスレーがコース氷を溶かしすぎて記録が悪くなる。こうしたあらゆる知識が装備コーチの「ノウハウ」から出てくる。
ハンシュリー・シーズ・コーチは2006年トリノ冬季五輪の時はカナダ代表チームで、14年のソチ五輪時はスイス代表チームで働き、それぞれ銀メダルを取るのに貢献した世界トップクラスの技術者だ。このため、シーズ親子が韓国代表チームを去ると、ボブスレー関係者の間では「韓国は平昌五輪のメダルを捨てた」という話まで飛び交った。本紙はこれについてシーズ親子とメールで接触を試みたが、連絡がついていない。