昨年12月3日、カナダのウィスラー・スライディングセンター。2016-17年シーズン最初のボブスレー・ワールドカップ(W杯)の試合を前に、韓国代表チームのエースパイロット(操縦士)ウォン・ユンジョンが乗っていた4人乗りボブスレーがコース走行中に転覆した。現代自動車が独自に製作して韓国代表チームに寄贈したボブスレーだった。腰を負傷したウォン・ユンジョンはメーン種目の2人乗りでW杯出場を強行したが、けがの影響で第2走行時に小さなミスが出て結局3位に終わった。
試合が終わったその日の夜、ボブスレーの装備担当コーチのハンシュリー・シーズ氏とファビオ・シーズ氏の親子が、走行担当コーチのエリック・ステファン・アラドゥ氏の所へ行った。シーズ親子は「走行方法の教え方が悪かったのではないか。なぜ突然ミスが出たのか」と問い詰めた。アラドゥ・コーチも激怒して、「そもそもボブスレーの整備が悪いからひっくり返ったのではないのか。ちゃんと仕事をしているのか」と反発した。双方の言い争いはしばらく続いたという。結局、装備担当のシーズ親子はチームをやめてしまった。当初は「家庭内の事情」と言っていたが、後に「アラドゥ・コーチと一緒には仕事ができない。申し訳ない」と連絡が来たそうだ。
この出来事を境に、韓国のボブスレーは転落し始めた。この出来事の発端となったW杯第1戦3位を最後に、今季は表彰台に立っていない。今月18日にドイツで行われた世界選手権では21位にまで下がった。昨シーズン1位だった世界ランキングも今季は7位になった。感情的な争いに起因するコーチング・スタッフの内紛が順位下降を招いたのだ。