英参加、独伊は慎重 日本経済新聞 2015/11/27(金)
【パリ=竹内康雄】首都パリが過激派組織「イスラム国」(IS)の標的となり、フランスのオランド大統領はテロとの戦いを「戦争」と表現した。欧州首脳の間では仏にどこまて同調するかで温度差が浮き彫りになっている。
キャメロン英首相は26日、「国の安全を他国に任せるわけにはいかない」と述べ、シリアのIS拠点への空爆に参加する意向を示した。
オランド氏は26日朝、パリでイタリアのレンツィ首相と会談した。レンツィ首相は記者会見で「ISを壊滅するには、外交的、軍事的な戦略が必要だ」と述べ、フランスのISとの戦いを支持する考えを示した。オランド氏は本音ではより具体的な協力をレンツィ氏から引き出したかったとみられるが、レンツィ氏は空爆参加に慎重な姿勢を崩さなかった。
これに先立つ25日夜の独仏首脳会談で、オランド氏はドイツにも対ISで一段の関与を求めた。メルケル首相は「ISは言葉で説得できない。軍事的な措置で戦う必要がある」と支援を約束した。歴史的な経緯からドイツは国外での直接的な軍事行動には慎重だ。今回も空爆には参加しない。ただ、フランスとの連帯を示すために従来より踏み込んだ対応も検討する。
オランド氏が独伊の首脳と相次ぎ会談を設定した背景には欧州連合(EU)の大国に軍事協力を促し、一体感を演出する狙いがあった。
24日、ワシントンでのオバマ米大統領との会談の成果は乏しく、オランド氏が提唱した米欧ロの大連合構想も、トルコによるロシア機撃墜で難しくなった。
同時テロ後、フランズはEU条約に基づき、集団的自衛権の発動を要譜した。
独・伊、仏と協力強化 朝日新聞 2015/11/27(金)
対IS独、マリで仏軍支援
レンツィ伊首相は26日、パリでオランド仏大統領と会談し、過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討に向け、両国の協力を強化する考えを示した。また、これに先立ってオランド氏と会談したメルケル独首相は25日、アフリカ西部マリへ独軍を追加派遣し、仏軍を支援すると表明した。
13日に起きたパリ同時多発テロで、シリアやイラクを拠点とするISが犯行声明を出した。
レンツィ氏は会談後の記者会見で「ISの壊滅に向け、連携を広げることが必要だ」と指摘。IS系組織が勢力を拡大するリビアについて「深刻な事態となり得る」と警告したが、具体的な軍事行動の考えは示さなかった。一方、オランド氏は会見で「外交面だけではなく軍事面での戦略が必要だ」と述べ、イタリアに対IS軍事作戦に積極的に加わるよう促した。
独政府は25日、現在350人のマリの駐留独軍部隊の規模を650人に拡大する方針を決めた。メルケル氏は会談後の記者会見でISについて「言葉で説得できる相手ではない。軍事力を用いて戦わなければならない」と言及。マリへの追加派遣の狙いについて「(対IS軍事作戦に伴う)仏軍の負担を軽減するためだ」と説明した。
パリのテロを受け米仏などは、シリアやイラクのISの拠点や資金源である石油施設などへの空爆を強化している。17日には、欧州連合(EU)の国防相会合でEU基本条約の相互防衛条項の発動を宣言し、EU各国に対し仏軍を支援するよう求めていた。
オランド氏は26日、モスクワでロシアのプーチン大統領と会談する予定。トルコ軍によるロシア軍機撃墜事件で対IS掃討の包囲網がほころぶなか、ロシアに自制を求めると同時に、対IS軍事作戦で連携を強めるよう促すとみられる。
(パリ=山尾有紀恵、渡辺淳基)
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