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歴史の審判

昨日2/27の将棋連盟臨時総会で、青野・片上・中川の3理事の解任が決まりました。私の裁判と直接関係あるわけではありませんが、(多少大げさに言うならば)裁判の歴史的評価に絡む話ですので、記録を残す意味でコメントしておきます。

このブログに書いてきた通り、私と連盟との関係は、2011年10月~13年5月の間は電王戦関連でいろいろトラブルがあり、13年6月~14年12月は裁判絡みのやり取りをしていました。13年5月までは、いくつかトラブルはありつつも少なくとも表立って連盟を批判することは避けていましたが、13年後半の裁判前のやりとりを通じて彼らに見切りをつけ、13年12月から公に全面対決のスタンスになりました。

でそれ以来、私は将棋クラスタから猛バッシングを受けてきました。曰く、お前が悪い、連盟が正しいに決まってるだろう、と。いやまあもちろん、きちんと私の話に耳を傾けて応援して下さる方も少なからずいたのですが、どうだろう、体感で半分以上は私に批判的かなと思っていました。まあ(本当かどうかわからないですが)工作員みたいなのがいるとかいう話もありましてw、批判は実態以上に多く見えてるみたいな話も聞きましたが、いずれにせよ私に批判的な人の割合は将棋クラスタ中それなりに多かったのは事実だと思います。裁判に勝ったことでだいぶ空気は変わりましたが、それでもまだ批判する人は根強くいて、つい5か月前、裁判終了から1年半以上経った16年9月の藤井新四段昇段の際にもまたバッシングの嵐が吹き荒れました。

誤解のないよう明確にしておきますが、私は、私を批判した人たちについて全く怒ったり恨んだりはしてないです。むしろ、私を批判するのも無理ないのだろうな、と考えていました。多くの将棋クラスタ民にとって、当時の私はつい最近目立つようになった新参者です。皆さん、私のことをよく知ってるわけではない。それに対して、プロ棋士のことは長年見てきてよく知っている。いや実際には、メディアでよく見かけるというだけで中身まで知ってたわけではないのですが、人間というものは、姿をよく見るだけでよく知っているような気になるものです。

そんな状況でプロ棋士と私が対立したら、よく知っている方を応援したくなるのは人情です。棋士が悪いはずがない、俺は/私は彼らをよく知ってる。伊藤の言うことだけ聞いてると彼が正しそうに思えるが、きっと嘘をついてるんだろう。おそらく多くの人がそんなふうに考えたのだろうと思います。

…とそういうふうに思ってますので、最近ブログコメントやツイッターでわざわざ謝罪して下さった方もいらっしゃるのですが、ほんと気にしてませんのでお気遣いなく。

実際、私自身はというと、いくら批判されてもほとんど気になりませんでした。裁判に関しては自分の方が正しいことに確固たる自信がありましたから。私は電王戦と裁判を通じて、連盟とかなり深いやりとりをしてきました。その中で連盟の実像を知りました。人の本当の姿は、そうやって深く関わらないとなかなかわからないものです。ですから私を批判する人たちに対しては「ああ、彼らは連盟と本当の意味で関わったことがないから、彼らの実態を知らないんだな、ならしょうがないな」という感覚でいました。

もちろんそうは言っても、誤解を解けるならば解くに越したことはありません。しかし、裁判後もなお私に批判的な人たちに対して、誤解を解く術は思い付きませんでした。彼らは前述の通り、棋士が悪いはずがないと頭から思いこんでいる。そういう人に対して私がいくら正論を言ったって、聞いてくれないわけです。

そういうわけで、誤解に対してはなす術がない。また一方、将棋クラスタの一部から憎まれてたって、私としては実害あるわけでもないし大して困りもしないわけです。なので、まあ解けるなら解きたいとは思うけど、どうしようもないし、別に困らないのでこのままでいっかー、というのが裁判後の自分への批判に対する私のスタンスでした。で、正直これが改善することももうないんだろうなと思っていました。

…と思っていたところへ、降って湧いたような今回の冤罪事件です。私は連盟のアホさ加減は骨身にしみてよく知ってる一方、棋士個人には特に恨みがあるわけでもなく、特に三浦さんは電王戦で話したこともあり、最初から三浦持ちでこの件は追っていました。すると、ネットの反応で「連盟腐ってるな、やっぱ伊藤正しかったじゃん!」「伊藤はこんな連中を相手にしてたのか、そりゃ大変だわw」みたいな発言がちらほら出てきて、オォッと思っていたわけです。いやソースは2chだけじゃないですよ?w ツイッターやブログコメント等でもけっこうそういう意見を観測しました。

そうこうしているうちに連盟の対応は悪手に悪手を重ね、今や「連盟は悪」は将棋クラスタ全体の総意となりました。つまり、上に書いたように「棋士が悪いはずがない」と頭から思いこんでいた人たち、私には手の施しようがなくて説得を諦めていた人たちが、はからずも考えを改めてくれたわけです。

それに伴い、将棋クラスタの私への反応も相当変わってきました。10月以降何度か冤罪事件関連のツイートをしましたが、以前は私が将棋関連のツイートをすると必ずと言っていいほど文句をつけてくる人がいたのですが、それが目に見えて減ってきました。で逆にRTや同意のコメントが増えてきた。本当にありがたいことです。

現時点(2017/02)で未だに電王戦や裁判関連の件で私に批判的な将棋クラスタ民は、おそらくかなり少数でしょう。(私の政治的スタンス等が嫌いな人はいるかもしれませんが、それはまた別の話w)もちろん世の中いろんな人がいるので、今もアンチ伊藤な人も皆無ではないでしょう。冤罪事件の方でも、あれだけはっきり第三者委が否定したにも関わらず、まだ三浦クロと言ってる人もいるくらいですから。ですがそういう人たちは、もう実質ほとんど目立たないくらいの少数派になってると思います。そして逆に私の発言にシンパシーを感じる人が増えてくれている。9月に炎上した藤井新四段の件についても、当時はめちゃくちゃ叩かれましたが、今の時点でもまだ「彼はプロになるべき」と考える人はだいぶ減っているでしょう。仮に私があの発言をしたのが今だったとしたらほとんど叩かれないと思います。冤罪事件が発生した16年10月以前の状況を思うと、私としては望外の状況というほかありません。

本当に、声を大にしてお礼を言わせてください。

渡辺明さん、ありがとう。あなたのおかげです。

さて、理事解任の件です。連盟の理事は2年に一度、5~6月頃開催される棋士総会で選挙によって選出されます。ですから私が相手としていた連盟理事は、11年選出の理事と13年選出の理事になります。ウィキペディア「将棋連盟」によりますと、11年:米長、谷川、東、田中寅、北島、13年:谷川、青野、東、島、中川、片上となっています(棋士の理事のみ)。15年の選挙では13年の棋士理事は全員再任されたようです(佐藤秀のみ追加?)。

電王戦の時はやりとりしたのは谷川・北島の2名でした。裁判では弁護士を通じてのやりとりだったため誰が主導していたかははっきりわかりませんが、裁判で訴えられるというのは連盟としては相当な重要事項でしょうから、程度の差はあれおそらく理事全員が関わっていた(少なくとも理事会で全員で議論はした)だろうと推測します。

私が対決した理事たちは今どうなっているか?北島棋士は13年から理事を外れています(落選したのかそもそも立候補しなかったのか覚えてないですが)。13年選出の理事はその後居座り続けていましたが、少し前に谷川・島、そして今回青野・片上・中川の各理事が退任/解任となりました。

裁判に対応した13年選出の理事たちの常軌を逸した主張についてはこのブログに色々書いてきまして、彼らは明らかに公益法人の理事としては不適格だと私は考えていました。それが今回、過半数の棋士が私と同様の考えを持つに至ったわけです。私が対決した理事たちを棋士達自身が悪であると認めた、それが総会の投票結果という歴史的事実として残った。そのことを将棋クラスタが目の当たりにし、深く認識した。この事実を、私は歓迎します。

まだ一人、東理事が残っていますが、彼はどうして解任されなかったのか?事情は知りませんが、彼は今回の冤罪事件にそれほど関わっていない、と棋士たちに判断されたのでしょうか。私も裁判の時に彼がどう関わっていたかわからないのですが、少なくとも東理事がこれこれのことをしたという話は耳にしていません。こう言ってはなんですが、「影が薄かった」のでしょうかね。ですので、このうえ彼を糾弾するとかいうつもりは毛頭ありません。まあ11年からずっと理事会にいながら、私の裁判でも今回の冤罪事件でも止められなかったってのは理事としてどうなの?と多少思わないでもありませんが、そういう不作為の罪はともかく、東理事個人にどうこうという思いは全くありません。東氏以外の5人が全て辞めた、そちらの方が重要、という認識です。

先に、私を批判していた人を恨んではいない、と書きました。それは本当に、心からの本心です。ただ、恨む/怒るということと、正しい/間違いの判断は別です。次のことは改めて明確にしておきます:電王戦及び裁判に関して、

 私は正しかった。
 私を批判した人たちは間違っていた。

この事実は歴史的記録として、しっかり残しておきたいと考えます。私としては、この事実に多くの人が賛同してくれるようになった、というのが今回の冤罪事件の思わぬ大きな収穫でした。(収穫、というと、被害を被った三浦さんには申し訳ないですが。)いやもちろん、私に言わせればそんなことは裁判に勝った時点で確定していた、と言いたいのですが、裁判後も多くの人がそれを認めようとしなかった。それが今回の事件を機に、大多数が認めてくれるようになった、ということです。

さて、今後はどうなるのか?私は今まで、連盟は敵、と認識していました。しかし前にも書いたように、「連盟」とくくっていますが、実体はやはり個人の集合で、特に理事たちの考えが「連盟」という組織の行動を決めていた、と考えています。で、私が敵と認識していた理事会メンバーがほとんど辞め(させられ)てしまった現在、もはや私の中では連盟=敵という認識はほとんどなくなっています。今後は新しい理事会メンバーが運営していくでしょう。それがどういうものなのか、現時点ではわからない。改善されるかもしれないし、今までと変わりばえしないかもしれない。今のところは判断保留、というしかありません。

ただ現在の私にとっては、連盟は敵でもありませんが、興味もありません。プロの棋戦からは13年後半から離れており、今ではもう全く関心がありません。個人的には、今後は「無関心」になっていくと思います。別に将棋というゲーム自体が嫌いになったわけではなく、対局をする時間こそありませんが、今でもすき間時間に時々詰将棋を解いたりはしています。ただ、プロ棋戦はいらない。別に私に限らず、一般の将棋ファンの多くにとってもうプロ棋士という存在の価値がほとんどなくなっている。棋士をおとしめるために言ってるとかでなく、純粋に客観的状況認識としてそう思っています。シビアな話ですが。

連盟の方はどうか?理事解任の件は、やらないよりはマシだったとは思いますが、いかんせん遅すぎたなあ、と思います。裁判の時に13年選出理事がダメであることは判断できたのだから、15年理事選では彼らを落とさなくてはならなかった。棋士たちは、それをしなかったばかりに、冤罪事件を招いてしまったわけです。ほとんどの棋士には私は恨みはないので気の毒とは思いますが、残念ながら選挙で投票した棋士たち自身の自業自得というほかありません。今後プロ棋界は衰退の一途を辿るだろうと私は予想しています。何年後になるかわかりませんが、彼らの再就職がうまくいくことを陰ながら祈っています。

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