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「清水富美加」出家の全経緯 “奴隷契約”“教義に反する映画出演”の真相は
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週刊新潮 2017年3月2日号
2017/2/23発売
清水富美加
2017年2月12日、22歳の人気女優・清水富美加が宗教団体「幸福の科学」に出家するというニュースが世間を驚かせた。
事の発端は1月19日午後のことである。事情をよく知る関係者が打ち明ける。
「教団のホームページに、『女優・清水富美加の可能性』と題した動画がアップされたことについて、マネージャーが、“何か知っている?”と聞いてみたんです。富美加に聞いてもわからないだろうなと思いながら」
実際、その内容を収録した書籍にあたると、こんなやりとりが交わされている。清水富美加守護霊として登場する清水は、
〈(自分は)「千手観音」の役割なんです。それを持ってることは持ってる〉
これに対して大川総裁は、
〈「本質的には、千手観音的な機能を持っておられる方であった」というのが今日の発見〉
と大いに評価していた。
■「神社を建ててもらうくらいのレベル」
改めて関係者の話に戻ると、
「そしたら“はい……父親から、そういう動画が出るって聞いていました”と言うからビックリしたそうです」
短くて長い30秒が流れ、言葉を呑むばかりのマネージャーに清水はこう伝えた。
「父親が信者で。私も子供のときからそうでした。幸福の科学って現代の仏教みたいなものなんです」
女優は淡々と仕事をこなすなかで、例えばそのあと周囲にこんな内容のことを語っている。
〈あの動画のなかで大川総裁に、私自身の守護霊と話してもらったことがとても嬉しかった。それは普通の人間ならば神社を建ててもらうくらいのレベルなんですよ。あと、これまではホテルを予約してもらうときに角部屋を避けてくださいと言ってきましたが、実はそこで寝るのが教えに反していたからなんです〉
それまで彼女は、「人と人のあいだじゃないと眠れない」と弁明していたという。
■「幸福の科学に出家したい」
そして迎えた27日、オフではあったが、次の日の仕事のため、大阪へ前乗りする本人から、
「明日話したいことがある」
とマネージャーは連絡を受け、翌日にそれを質したところ、
「あ、そうだ。いけない……。目黒までちょっと一緒に来てくれませんか」
と表情に暗い影が差したという。
事務所で打ち明け話があるのかと思ったところ、清水は目黒のホテルに同道を促す。そこでは2人の見知らぬ男性弁護士が待ち構えており、都合4人がスイートルームへ身体を滑り込ませるように入ったのである。
女優はこう言った。
「幸福の科学に出家したいと思いますので、(満了の)5月20日をもって契約を終了させてください」
今度は、部屋の窓が曇るくらいのため息を吐き出してマネージャーが説得を試みる。
「えっ、どうしてなの。だって一緒に夢を追いかけようって言ったじゃない。富美加はお芝居のことが絶対好きだから。辞めたいなんて嘘だから。やりたくない仕事はやらなくてもいいんだよ。両立していけばいいじゃない」
女優は涙ながらにこう訴える。
「嘘じゃありません。でもそれを上回る大事なことが見つかってしまったんです。両立はできないんです」
明けて29日、マネージャーは昨日の出来事を所属事務所の社長に報告すると同時に、いずれも幸福の信者である清水の両親に架電。母の方は、
「一昨日来たときは“仕事頑張る”って言っていたんだからそんなはずはない。ちょっと待ってください」
と言ったものの、本人に確認したのちにこんな返事が来たのだった。
「信仰を優先させたいと言うし、これ以上は説得できない」
これまでも急展開ではあったが、ここから更に事態は加速していくのである。
■“奴隷契約”
2月1日、幸福側の代理人弁護士から内容証明が届く。そこには大要、こうあった。
〈契約を2月20日で終わらせたい。月5万円、連続で31日も働かせるような劣悪な労働環境に置いたこと、本人が嫌がる水着の仕事や教義に反する映画出演をさせたのは問題である〉
2月12日に幸福側が会見で明かした内容に一致するものだが、これについて先の関係者はこう話す。
「月5万円については、彼女がまだまだ駆け出しのころ、仮面ライダーに出演していた際の話で、それはどんなタレントさんでも同じです。随分前から彼女に車をつけているし、世田谷のマンションの家賃込みで年に1000万円以上、他に脱毛エステ代や飲食費などはすべて会社が負担している。嫌な仕事を無理やりというのも、きっちり彼女の意思を確認してやってきたようだから、そうしたことはなかったはずです」
いわゆる奴隷契約と名指しされたものとは乖離があることについて幸福の科学グループ広報局に聞くと、
「解約後も本名の使用すら許さない契約内容や、病気でも医師の診断書すら疑って仕事を強要するかのような事務所側の奴隷的支配体制を指す」
と回答したのだった。
今度は事務所に尋ねると、
「当初から本名の使用を禁じるという契約は存在しません。あくまでも本名以外の芸名の使用に関して協議を要するという条項が付されている。したがって、先方の主張は事実に反します」
■ロケの合間のある振舞
ちなみに〈教義に反する映画出演〉とは、ヒロインを演じる今夏公開の「東京喰種」で、人肉を口にする場面を演じたことを指す。しかしながら、関係者への取材を進めると、本人は撮影そのものや映画のプロモーションに関しても、非常に前向きな言動であったということで一貫している。例えば、制作スタッフのひとりによれば、イミテーションの腕の切れ端を持ってふざけるなど、撮影を楽しんでいる様子がロケの合間に目撃されていたという。
これについての幸福の科学側の見解はこうだ。
「仕事を断ると“干される”という恐怖のもとで、良心や思想信条にかなわない仕事をせざるを得ず、体調を崩してしまったと伺っております」
もっともこの内容証明と相前後し、清水は事務所の車を使わなくなり、「親よりも親みたい」と懐いていたはずのマネージャーからの電話やメールにも反応しなくなってしまった。
「差し当たって撮影中の映画とレギュラーの『にじいろジーン』以外は受けない。したがって、8日に予定されていた映画『暗黒女子』のPRやインタビューもやることはできないと通知されてしまいました」(先の関係者)
その仕事を飛ばすと大変な損害が生じる旨を弁護士を通じて伝えるも、戻ってきたのは女優の病名が記された診断書で、こうあった。
〈今後6カ月の自宅療養、通院治療を要す〉
■違約金は…
ここで、ある芸能プロ幹部はこんな告白をする。
「去年の暮れぐらいに、清水と事務所との間で話し合いが持たれたんです。その際に、“このままのレベルの女優でとどまるか、もっと高いところを目指すか、そろそろ覚悟を決めなきゃね”と伝えたら、彼女は“どうせやるならトップを目指したい。私、事務所を今の場所からもっと大きなビルに移転させることができるくらい頑張ります”と元気に話していたと。それなのにねえ」
いまとなっては新進女優の声が虚空に響くばかりだ。
2本のCMとおシャカになるのが確実な撮影中の映画。その違約金については、
「億を下らない額になりますが、教団側は違約金などが発生した場合には対応する意向を示していると聞いています」(同)
特集「素朴な疑問は『幸福の科学』信者1200万人なのになぜ落選? 勝手に出家『清水富美加』が不幸にした人」より