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【ゴルフ】

<パッと咲け2017>次期エース候補の高橋恵「全米女子OP勝ちたい」

2017年2月28日 紙面から

アイスに舌鼓を打つ高橋恵=横浜市のウィンズラジャゴルフステーション戸塚で(北田美和子撮影)

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 3月2日に開幕する今季の女子プロゴルフツアーに、アマ時代に大器といわれたルーキーが本格参戦する。中学2年時に下部ツアーで優勝、昨年の新人戦も制した高橋恵(20)だ。恵まれた体から繰り出す豪打が武器だが、実はここまで来るにはパッティングのイップスに苦しみ、ゴルフをやめたいと思ったことも。今季最注目の次期エース候補に、開幕直前の心境を聞きました。 (聞き手・月橋文美)

 プロゴルファーになりたいと思ったのは小学5年生。卒業文集にもそう書いたと思います。小学校低学年までは水泳選手になりたかったんです。スイミングスクールに行ってたし、水にいるのが楽しかったんです。でも、泳ぎ終わって着替えるのが嫌いで。それで、ゴルフの方が楽しいな〜と思って。トーナメントも見に行ってました。ミシェル・ウィーさん(米国)がすごい好きで。彼女が全米女子オープンで優勝した時のピンクやブルーのテーピングにも憧れました。

 中学2年生だった2010年、下部ツアーのANAプリンセスカップで優勝しました。でも、そんなに特別なことだとは思ってなかった。ところが翌日、新聞に自分の顔がバーンと載ってびっくり。あれ、なんだろう、みたいな。学校に行っても、わ〜って感じになったし、テレビの取材が来たり。それで、私は常に成績を出さなきゃいけないんだ、と思うようになっちゃったんですよね。取材や写真撮影は楽しくできてたんですが、ゴルフは窮屈になってしまった。ジュニアの試合は勝って当たり前とか、勝手に自分にプレッシャーかけて、ストレスたまって、そのうちパットが打てなくなっていったんです。ボールがカップにかすりもしなくなった。

 ゴルフをやめようか、何か違うことやってみようかと思ったこともありました。でも、進学するための勉強をしていないし、他にできることも思いつかないし、やっぱりゴルフしかないと。ちなみにプロゴルファー以外の憧れの職業はアナウンサーだったんです。アマチュア優勝した後、軽井沢の試合の練習ラウンドの時にテレビ局の取材を受けて、それがすっごい楽しくて。今もテレビでゴルフ中継とか見ながら、1人でしゃべってます。家族に「うるさい。黙って見ろ」と怒られてますが。

 アマ優勝はしましたが、初めて受けた2015年のプロテストは、最終まで行ったけれど、落選しました。正直言うと、あまり受かる気はしていなかったんです。手が震えて、パッティングなのにシャンクみたいにありえない方向に打ってしまったり。落ちて泣いている選手もいたけれど、私は「やっぱりな」という感じだった。受かるわけないと。

 その年の12月の出場予選会(QT)もだめでした。ところが、一時期パットの練習をやめてみたんです。そしたらそれがよかったみたいで、普通に手が動いたんです。小さく引いて大きく出すストロークにしてみたら治った。パターもいろいろ試して、4本以上は替えたかな。お弁当箱みたいなヘッドのも使いましたもん。

 で、2度目のプロテストは、100%の自信はなくても、無理矢理でもあるって言ってやった方がいいかと思って臨みました。で、普通にやって、普通に通り、その勢いで新人戦も勝っちゃいました〜。実は練習ラウンドしなかったんですよ。体調がよくなくて、直前にヘルペスも出て欠場しようかなとも思いました。でも、一生に一度の、戻りたいと思っても戻れない試合だから出た。優勝したいと思って勝てたから、本当にうれしかったし、自信になりました。優勝副賞はルンバとリモワのスーツケース。ルンバは家で活躍してます。スーツケースはもちろんツアー遠征に持って行きます。

 QT7位で今季はツアーにフル参戦します。なんせ初めてのことなんで、後半戦まで体力を落とさず戦えるように、このオフは体力づくり第一で取り組みました。トレーニングは有明、練習は横浜か葛西。開幕戦のある沖縄には今月15日から入ってます。

 昨年12月、LPGAのアワード(年間表彰式)に出ました。ドレスを着て行くのは初めてだったから、母と洋服選びとかしてすごい楽しかった。メイクしてもらって会場に入ったら、もうみなさんきれいで…。(登壇は)新人戦優勝がトップバッターだったから、試合よりはるかに緊張しました。ヒールの高い靴をはいてたし、ステージの階段でこけたらどうしようと思ってドキドキでした。今年は前夜祭とか、毎週のようにドレスも必要になってきますよね。

 昨年7月に20歳になりました。お酒はそんなに好きじゃないけれど、なんか大人になった気分になりますよね。誕生日はプロテストの練習ラウンドで山口県に行ってたんです。それで同じホテルに泊まってた安田綾乃ちゃん(同期合格)が「お誕生日おめでとう」って缶チューハイとおつまみを買ってきてくれて飲みました。でも、ジュースの方がおいしいんじゃないかなと思っちゃった。今年から伊藤園の所属になったので、もっぱら飲み物は“お〜いお茶”ですね。

 ファンのみなさんに一番見てほしいのは、ドライバーの飛距離。それと、結構攻めるゴルフをするので、そういうところかな。将来はシード取って、賞金女王になって米ツアーにも挑戦して、それで全米女子オープンで勝ちたい。とにかく世界で一番の試合で勝ちたい。30歳で引退したいから、それまでに。アナウンサーになりたかったから、引退して解説者とかやりたい。すご〜くやりたい!

◆「この間、大久保で4件はしご」好物はイタリアン&韓国料理

<担当記者のちょっとおいしい話> 彗星(すいせい)のごとく現れた、天才ゴルフ少女。和製ミシェル・ウィーも、いつの間にか20歳。高橋はゴルフの調子がいい時も悪い時も、いつも笑顔で気持ちのいいあいさつをしてくれる。好物はイタリアン。遠征先では必ずと言っていいほどイタリア料理店を探し、同行する家族に「また〜っ?」とうんざりされることもしばしばだとか。

 「必ず頼むのはペペロンチーノ。大好きです。シンプルでにんにく入ってるのが大好き。いくらでも食べられますよ」とのこと。このコーナーに先に出た堀琴音と好みが合いますね。

 好き嫌いはほぼないそうで、今年初めてのツアーフル参戦の楽しみは、北海道や福岡での食事。「イタリアンの次は韓国料理。この前、東京・新大久保で4軒はしごしました。サムギョプサルと、チーズタッカルビと、トッポギのおいしいお店と、もう一軒。チヂミとかも食べて。プルコギもすごく好き!」

 記者もおいしいものが大好きですが、4軒はちょっと無理かな〜。 (月橋文美)

<高橋恵(たかはし・めぐみ)> 1996(平成8)年7月20日生まれ、横浜市出身の20歳。172センチ、60キロ。小学1年からゴルフのレッスンを受ける。長野・佐久長聖中時代の2009年フランス・エビアンマスターズジュニアで男子を抑え総合V。10年7月、LPGA下部ツアーのANAプリンセスカップを13歳でアマチュアV。佐久長聖高を卒業し、16年プロテスト合格、12月の新人戦加賀電子カップ優勝。レギュラーツアーは2戦しいずれも予選落ち。今季から伊藤園所属。好きな男性アスリートは日本ハム・大谷翔平。

 

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