【侍ジャパン】内川、カズ魂!“恩人”50歳現役に刺激
第4回WBC日本代表のソフトバンク・内川聖一外野手(34)が27日、キングから世界一奪回へ大きな力をもらった。26日にサッカーJ2・横浜Cの元日本代表FW三浦知良(50)が、自身が持つJリーグ最年長出場記録を更新。子供の頃から応援してきた“カズ世代”の1人として、大ベテランの偉業に刺激を受けた。25日に打撲した右肩も順調に回復。チームはこの日、合宿地の宮崎から福岡に移動。28日の壮行試合・台湾プロ選抜戦(ヤフオクD)出場にも意欲十分だ。
熱い気持ちを隠さなかった。内川がキラキラと目を輝かせた。「誰がどう見てもすごいこと。とてもじゃないけど、50歳なんて…。すごいとしか言いようがないですよね…」。第一線で踏ん張り、Jリーグ史上初の50歳選手となったレジェンド・カズ。思い出にも浸り、自分のことのように喜んだ。
子どものころからスターだった。「僕は思いっきり『カズさん世代』ですからね…」。お気に入りはヴェルディ(東京V)。野球少年でも、手首と足首にミサンガを巻いて応援したことが懐かしい。今年も同じ宮崎でキャンプを行うMF清武(C大阪)の激励に出向くほどのサッカー好きで、50歳でもフィールドをかける姿に「すごい、本当にすごい」とため息をついた。
「日の丸」を背負って ともにトッププレーヤーとして「日の丸」を背負ってきた立場。大先輩には今でも感謝している。世界一を逃した13年の前回大会。準決勝・プエルトリコ戦で、押せ押せの場面で一塁走者として走塁ミスを犯した【注】。3連覇を逃し、ベンチで男泣きする内川を見て、カズは胸を打たれ、報道陣にこう言った。
カズ「団体スポーツでやっている分、負けたときはみんなの責任。内川さんの涙が、日本代表の重みを表している」
年下でも「さん」付けで呼び、敬意を表してくれた。心情を察するように、心温かい言葉を発信してくれたことを、昨日のことのように覚えている。
内川「僕が世界一を止めたことは消せないですけど、そういうふうに見てくださってると聞いた時はうれしかったですよね」
25日のソフトバンク戦(サンマリン宮崎)で一塁守備の際に右肩を負傷。チームに迷惑はかけられない立場だったが、首脳陣は侍の一員としてチームに残してくれた。そして尊敬するカズが50歳という節目で躍動する姿をテレビで目撃。最高のタイミングで極上の刺激をもらった。
この日は早朝の飛行機で宮崎から福岡へ戻った。「打つことに関しては大丈夫だと思う」と患部の経過が良好なことを強調した。28日に早出で動作確認する予定で「そこで問題なければ出たいですね」と台湾プロ選抜戦での復帰を視野に入れた。
3大会連続のWBC出場はメンバー唯一。青木(アストロズ)が合流するまではチーム最年長だ。「与えられる打席はそこまで多くないと思う。1打席1打席を本大会につなげていきたい」と頼もしい。雪辱、恩返し、そして小久保監督を男にすること。JAPANの支柱には戦う活力がある。(長田 亨)
【注】13年の第3回WBC準決勝・プエルトリコ戦(AT&Tパーク)で、日本が2点を追う8回1死一、二塁から重盗を仕掛けるも、二塁走者・井端がストップしたことに気付くのが遅れた内川が挟殺されて万事休す。同点の勢いがしぼみ、3連覇の夢がついえた。