人はなぜ「結婚をしたい」と思うのだろうか。
2015年の国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査」によると、結婚の利点として「子どもや家族をもてる」を挙げる人が最も多く、男女ともに年々増加してきた。また、2000年代以降は、「精神的安らぎの場が得られる」と「愛情を感じている人と暮らせる」が減少し、「親や周囲の期待に応えられる」が増加している。
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興味深いのは、「性的充足が得られる」が年々減少していて、2015年の最新調査では男性1.6%、女性0.2%という結果。女性はほぼゼロに近い割合ということになる。
■結婚に求めるのは「家族愛」のハズなのに……
この調査結果を見ると、結婚に求めるものは、男女の“情熱的な恋愛”よりも“穏やかな家族愛”ということになる。
しかし、異性に“家族愛”を求めながらも、それを築く相手を選ぶ目は厳しい。ことにお見合いの場合は、条件から入る出会いなので“よりよい相手と巡り合って結婚したい”という気持ちが強くなる。結婚相談所の会員たちのお相手選びを見ていると、男女ともに、見た目、年齢を重視する人たちが圧倒的に多い。女性の場合、ここにさらに年収も加わる。
もちろん、結婚して子どもをもつことを視野に入れたら、年齢を重視するのは致し方ないことだろう。女性は35歳を過ぎると、“できるだけ年の近い人、もしくは年下”を希望する。働き手となる父親は1歳でも若いほうがいいからだ。男性は、35歳以下の女性が希望だ。出産できる年齢の幅をできるだけ広く取りたいからだ。ここで、お互いが求めあう年齢が合致しないので、マッチングが難しくなる。
これは、仲人をしている私の経験則だが、年齢と容姿にこだわる傾向は男性のほうがより強い。申し込みは誰にするのも自由なので、入会したての男性たちは決まって自分よりもかなり若い、お人形さんのようなルックスの美人にこぞって申し込みをかける。
先日、私の相談所の会員女性35歳の美人に、70歳の会社経営者(年収1950万円)がお見合いを申し込んできた。26歳の女性に67歳(年収400万)がお申し込みをかけてきたこともある。40代の男性も、当然のように20代を狙いにいく。
ただ、ずば抜けて年収の高い一部の男性を除いて、平均的な年収の男性の場合はほとんどが受諾されない。そうした現状を説明しても、“できるだけ若くて、かわいい女性と結婚したい”という思いから、ダメもとで申し込みをしてくる男性があまりにも多い。
■高身長イケメンなのに。孝雄(42歳)の「貢ぎ人生」
先日、入会面談にやってきた孝雄(仮名・42歳)も、女性の見た目や年齢にこだわるあまり、手痛い思いをした経験がある。
孝雄は、180センチメートルを超える長身に二重の目がキリリとした精悍なハンサムだ。「1度も結婚の経験がない」というのだが、この歳になるまで独身でいたのが不思議な容姿だった。
「婚活した経験はあるの?」
「ええ。37歳から40歳まで、大手結婚相談所に入っていました。でも、そこで決まった結婚を2回ドタキャンされたんです」
「いや、別の人です。1回目はプロポーズを受けてもらって、その1週間後に『やっぱり結婚をやめたい』と女性から言われました。2回目はプロポーズを受けてもらった後に、相談所に成婚料を払って2人そろって退会した。ところが結婚の話を具体的に進めようとしたら“親の介護がある”とか“仕事が忙しい”とかあれこれ理由をつけて会えなくなった。『これじゃあ、結婚が前に進まないよ』と言ったら、『やっぱり結婚はできない』と言われました」
相談所はすでに退会していたので、結婚相手を失っただけではなく相談所に払った成婚料も返金されず無駄になった。
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