■今だからこそ知っておきたい「ねんきん」
大学卒業後、3年間会社勤めをし、その後脱サラ。都内で妻と2人でカフェを営む30代男性のTさん。正直、年金については今まで考えたこともなく、また生活も今ほど安定していなかったので、脱サラ後は、国民年金保険料をまったく払っていませんでした。
先日、たまたま見ていたニュースで「来年から年金をもらうために必要な期間が25年から10年に短縮される」ことを知ったTさん。老後のことを考え、今後は払おうと思ったTさんでしたが、ふと疑問が……。
「そもそも年金って、払った分はもらえるの?」
原則20歳以上の人が加入している国民年金。でも、残念ながら制度をきちんと理解している方は少ないのではないでしょうか。そこで、今回は年金をもらうために必要な期間が10年に短縮された今だからこそ知っておきたい「ねんきん」の4つのお得な話をしていきたいと思います。
1、どうすれば10年になる?
65歳になったら、国民年金からもらえる老齢基礎年金。この老齢基礎年金は、今まで原則25年間(300月)保険料を掛けていなければ1円ももらえない制度でした。しかし、25年間は非常に長い期間であるため、25年を満たせず老後に無年金となってしまう人が増えてきたことから、平成24年に「消費税率を10%にすることを条件に25年を10年に短縮する」ことを決めていました。ところが、消費税の引き上げが先送りに。年金は喫緊の問題であることから、今年の9月分の年金から10年に短縮することを決めたのです。
冒頭のTさんは会社に勤めた期間が3年間(厚生年金に加入)ですから、あと7年間、国民年金(厚生年金でも可)保険料を払えば老後に年金、具体的には老齢基礎年金をもらえるようになったわけです。
なお、この10年は、国民年金と厚生年金の期間を両方合わせてカウントしてくれます。また、老齢基礎年金がもらえれば、厚生年金から支給される老齢厚生年金が、たとえ1カ月でも加入した月分に応じて支給されるようになります。ですからTさんの場合は、老齢基礎年金がもらえるようになれば、会社員だった3年間分の老齢厚生年金も別途もらえることになるわけです。
2、保険料を払っていない期間もカウントされる?
年金をもらうために必要な10年ですが、実はこの10年は、保険料を払った期間だけがカウントされるわけではありません。たとえば、所得が一定額以下のために保険料を免除されていた期間や学生納付特例によって保険料が猶予されていた期間などはもちろん、その他にも「平成3年3月以前に、学生であるため国民年金に任意加入しなかった期間」「昭和61年4月以前に専業主婦で任意加入していなかった期間」「日本人が住民票を除いて海外に住んでいた期間」などのように上記ケースに該当しているだけで、この10年にカウントしてくれる場合もあるのです。
これら10年にカウントしてくれる期間を合算対象期間(通称カラ期間)といいますが、自分が当てはまるケースもあるかもしれないので、よく確認しておくことが大事です。
たとえばこんなケース。保険料を払った期間は1年だけで、その後住民票を海外に移して、そこで9年以上暮らしているようなケースです。こんなケースでも10年としてカウントしてくれ、年金はもらえるのです。
さすがに保険料を1年しか払っていないので、月額約1625円と、月1回のランチ代くらいしかもらえませんが、日本円でもらえるので、住んでいる国によっては大きなメリットになりますよね。
■長生きすればその分多くもらえる年金
3、国民年金は10年で元が取れる制度
みなさんが日頃疑問に感じるのは、「年金は自分が払った分もらえるのか?」「何年ぐらいもらえば元が取れるのか?」ということではないでしょうか。
老齢厚生年金は、会社からもらっていた給与額で保険料も年金額も計算されるため、金額を計算することが難しいのですが、国民年金からもらえる老齢基礎年金は保険料も年金額も定額なので、計算することができます。
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