金正男(キム・ジョンナム)氏殺害事件の捜査を行っているマレーシア警察の能力とメディアへの対応に注目が集まっている。当初はまともな捜査ができるか懸念する声さえあったが、じっくり落ち着いて証拠を集め、それらを積み上げて容疑者を突き止め、最終的に北朝鮮の犯行であることを明らかにした。特にアブバカル警察庁長官の会見は評価が高い。言うべきこととそうでないことの線引きが非常に明確で、各国のメディアが高く評価するのもうなずけるものだった。韓国国内のネットでも「韓国の警察より優れている」といった反応が相次いでいる。韓国人の誰もが今回の事件でマレーシア、そして東南アジアを見直したのではないだろうか。
1970年代の初めごろまで東南アジアの各国は韓国よりも発展していた。そのため当時は韓国人の多くがタイに留学し、フィリピンでマグサイサイ賞を受賞すればこの上ない名誉と考えていた。しかし経済規模が逆転すると、韓国人はいつしか東南アジアを「自分たちよりも格下」と考えるようになった。それは東南アジアからやって来た労働者に対する差別待遇や、「アグリー・コリアン」などと呼ばれる現地の韓国人観光客の横暴な態度などにも表れている。これに対して日本は東南アジアを重視する政策を昔から続けており、各国との信頼関係も厚い。それは今回の事件に対する日本メディアの取材力にも表れていた。韓国人の世界に対する認識は欧米や中国、日本に大きく偏っているが、今やこれを見直す時が来たのではないか。