20年前のアジア通貨危機当時、韓国は国際通貨基金(IMF)の支援を受け入れ、過酷な構造改革を強いられた。これに対してマレーシアはIMFの支援を受けず、韓国とは逆に資本市場を閉ざした。各国はどこもマレーシアの取り組みを無謀と考えたが、最終的にマレーシアは通貨危機の克服に成功した。国のプライドを守り、困難を自分たちの力で克服することにより、最後は逆に通貨危機を発展のきっかけにできたのだ。マレーシアは思った以上に底力のある国だった。
当時のマレーシアで米国式の資本主義を強く批判し、投機勢力との駆け引きを陣頭指揮したのはマハティール首相だった。英国で教育を受けたマハティール氏は20年以上にわたり首相を務め、在任中はマレーシアを高度成長へと導いた。マハティール氏だけではない。東南アジア各国の指導者や政府高官は多くが先進国で教育を受けたエリートたちだ。シンガポールの国父と呼ばれる故リー・クアンユー首相はロンドン・スクール・オブ・エコノミクス出身で、息子のリー・シェンロン首相はケンブリッジ大学を卒業している。ちなみにシンガポールではかつては英国留学組が主流だったが、最近は米国やオーストラリアなどの留学経験者も多いようだ。
東南アジアの多くの国はかつて英国やオランダなどの植民地だったこともあり、欧州式のエリート主義の考え方が根強く残っている。インドネシア駐在経験を持つ韓国のある外交官は「東南アジアのエリートたちのレベルは韓国よりも一段階レベルが高い」と語る。韓国人が彼らと対話をすると、国際情勢に対する知見やその深い知識に誰もが驚くという。また米国と中国の2大強国の間でバランスを取り、さまざまな方面で戦略的に対応する東南アジア式の外交術は、国際政治学者にとっては非常に興味深い研究対象だ。各国ともまだ発展途上だが、彼らのようなエリートたちが国を動かしているのは紛れもない事実だ。