しかし現状を見ると双方の大統領候補者たち、とりわけ当選が有力視される候補者たちはほぼ全員が承服を明言しないか否定的だ。大統領を目指す人物がこのざまでは、集会の参加者たちに承服を呼び掛けることなど期待もできない。また彼らがある日突然、本当に国のことを心配する政治家に生まれ変わることもおそらくあり得ないだろう。このような状況で憲法裁判所が弾劾の成立あるいは棄却の決定を下した場合、反対勢力が激しく抵抗して国全体が大混乱に陥るのは間違いない。そのため現状をこのまま放置するしかないのか、改めて考えざるを得ない。
もし弾劾が棄却されれば、朴大統領は何もなかったように大統領に復帰できると考えているようだが、リーダーシップを完全に回復するのはおそらく不可能だろうし、それによる政策の空白と国の危機的状況は一層悪化するに違いない。一方の野党側は、弾劾が成立すれば簡単に権力を掌握できると考えているかもしれないが、選挙は一筋縄ではいかないのはもちろん、当選しても間違いなく激しい反発を受けるだろう。だとすれば今、本当に国と国民のためにやるべきことは何か。憲法裁判所の決定以外に他に選択肢はないのか。まずは大統領から真剣に考えてほしいものだ。