関与疑惑の8人で4人は北朝鮮保衛省、2人が外務省所属
【ソウル米村耕一】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム)氏(45)が殺害された事件について、韓国の情報機関、国家情報院は27日、北朝鮮で秘密警察の役割を担う国家保衛省と外務省が直接関与した「国家主導によるテロ事件だ」と断定した。国情院が韓国国会で報告した内容を聯合ニュースなどが報じた。
報じられた報告内容によると、事件への関与が疑われている北朝鮮国籍の8人のうち4人は北朝鮮の保衛省、2人が外務省所属。残る2人は高麗航空職員と政府直属の貿易会社関係者としている。実行犯グループは2組に分かれており、1組目は保衛省のリ・ジェナム容疑者(57)と外務省のリ・ジヒョン容疑者(33)で構成。2組目は、保衛省のオ・ジョンギル容疑者(55)、外務省のホン・ソンハク容疑者(34)で構成される。1組目がベトナム国籍のドアン・ティ・フオン容疑者(28)を、2組目がインドネシア国籍のシティ・アイシャ容疑者(25)を取り込み、一時別行動を取った後、事件前にマレーシアで合流したとしている。
1組目、2組目とは別の支援グループにも4人が所属。在マレーシア北朝鮮大使館のヒョン・グァンソン2等書記官(44)は保衛省所属の駐在官で、マレーシアにおける正男氏の動向の追跡など支援グループの一員として役割を果たしていたと見ている。
一方、国情院はこの日、北朝鮮の金元弘(キム・ウォンホン)国家保衛相が越権や拷問などを理由に軟禁され、保衛省幹部5人が処刑されたとみられることも報告した。事件との関連については触れなかった模様だ。
マレーシア警察は、実行犯とみられるフオン、シティの両容疑者が猛毒の神経剤VXを正男氏につけて殺害したと見ている。両容疑者が実行犯グループの4人ら北朝鮮の男たちに指示されていたとみて、北朝鮮に身柄引き渡しを求めてきた。また、ヒョン2等書記官ら3人について重要参考人として行方を追っている。