住職が静かにお経を読み上げるのを正座をしながら聞くのが、一般的だと思っていました。けれど、テクノ音楽に合わせてお経を読む福井市の住職が静かに話題になっているようです。「ピーピーピー ピピピピッキピッピピー」の始まりで有名な「ライディーン」のような曲に合わせるのでしょうか?それとも「Perfume」のように歌って踊れる住職なのでしょうか? スピーカーはやっぱり「BOSE」なのか? 話を聞きに行きました。(朝日新聞福井総局・影山遼)
【動画】お年寄りも思わず「浄土ってきれいやねえ……」 テクノ法要の「ライブ感」
事前に仕入れた情報では「固定観念をぶち壊せ!」をテーマにやっているそうで、怖いおじさんが出てきたらどうしようと考えていました。
けれど福井市の照恩寺で出迎えてくれた住職の朝倉行宣さん(49)は、白い髪を後ろになでつけて、きれいに刈り込まれたひげをたくわえたダンディーな人でした。坂本龍一さんに似ていないこともないような、けれど歌って踊れるという感じではなさそう…。
100人は収容できるという寺の本堂で、実際にパフォーマンスを見せてくれました。
袈裟に着替えた姿はお坊さんそのものですが、頭にはマイク付きのヘッドホンをつけており、不思議な感覚になります。マニアだったという父・成宣さん(77)から譲り受けたという高そうなオーディオの機材も設置されています。
本堂は真っ暗で、さながらライブ会場の客席のようです。
ご本尊の阿弥陀仏像が乗せられた須弥壇がパッと照らされ、曲が流れ始めました。お!これは聞き覚えのある感じのするテクノ音楽です。曲と同時に、プロジェクターや舞台照明を使って、仏像などが赤、白、青、黄、緑、紫、ピンク…と次々に照らし出されます。ミラーが天井や床などそこかしこを照らし、仏像の祭られた「舞台」だけが光の中に浮かび上がります。
そこで朝倉さんがお経「仏説阿弥陀経」を口ずさむと、そのテンポや音階がぴったりとはまりました。クラブミュージックのようなノリノリの曲と違った静かな曲は、落ち着きます。
読み込み中…