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SCREEN modeが語る、アニソンの停滞を危惧して選んだ大胆な道

SCREEN modeが語る、アニソンの停滞を危惧して選んだ大胆な道

SCREEN mode『SOUL』
インタビュー・テキスト
阿部美香
編集:矢島由佳子
2017/02/27
  • 6

これまで数々のアニメ主題歌で、力強く、激しく、苦しみ、もがき、世に抗いながら突き進んでいく男の闘争心を、疾走感丸出しの骨太なロックサウンドに乗せて届けてきたSCREEN mode。そんな彼らの最新ミニアルバム『SOUL』は、これまでのSCREEN modeのイメージを200%ぶち壊す、本当にやりたい音楽、アニメ作品にとらわれないクリエイティブをぶつけた、ソウル(=魂)ミュージックだ。彼らにとっては、初めてのラブソング集でもある。彼らのメインフィールドである「アニソン」の進化を求めて作られたという『SOUL』に、込められた願いとはなにか?

去年末の年間アニソンランキングを見ていると、キャラクターソングが上位を占めていて、アーティストは苦戦しているんですよ。(雅友)

―単刀直入に申し上げると、最新のミニアルバム『SOUL』を聴いて最初に思ったのが……「どうしちゃったの、SCREEN modeさん!?」でした。

:なるほど(笑)。

雅友:そうでしょうね。今までの楽曲とは、だいぶ方向性が変わってますからね。

勇、雅友
勇、雅友

―過去2度のインタビューでも、SCREEN modeが放つ音楽は、現在形のアニソンに対する「アニソンの再定義」であり、そもそもアニソンはジャンルレスなものであるというお話をしていただきました(SCREEN modeが話す、極端に近親交配が進むアニソン業界の危機)。その上で、私たちに発信されてきたSCREEN modeの楽曲は、疾走感あふれるロックと王道ポップスの融合というイメージがあるのですが、『SOUL』は全体のサウンドが、いきなりブラックミュージック、しかもかなりクラシカルなルーツミュージック寄りに回帰していますね。

雅友:はい、ガチなブラックミュージックですね。それには深い理由があるんです。

―というと?

雅友:去年の末に発表された年間アニソンランキングで、キャラクターソングが上位を占めていて、アーティストは苦戦しているという報道がありまして。いったい、それはどういうことなのかなと……。

僕がアニメソングの仕事を始めたのが2002年くらい。そこから約15年経つわけですけど、アニソンって3世代、4世代目に入ろうとしていて、作り方も楽曲も昔とは様変わりしているんですよね。たとえば、以前もインタビューで話しましたが、今のアニメの主題歌なり、キャラクターソングなりというのは、曲調やサウンドが、1年くらい前に流行ったアニソンをお題にして作られる。

―リスナーが慣れ親しみ、求めるものを作りましょうと。

雅友:そうなると、どんどん同じ要素が抽出されていき、結晶化する。つまり、同じような曲ばかりが増えていく。このままではアニメソングの進化が終わり、ガラパゴス化が進行するんじゃないかという危惧がずっとあるわけです。

:そういう話をずっとしてるよね。

雅友:そうそう。15年前、僕がアニメソングに関わりだした頃を振り返ると、同じようにお題を出されるにしても、洋楽だったり、松田聖子さん、中森明菜さんのような80年代のアイドルソングだったんです。少なくとも、自分たちと同じフィールドの音楽を参考にはしてなかったんですよ。

―だからこそ、ジャンルレスでユニークなアイデアがアニソンに盛り込まれ、バラエティーに富んだ曲が生まれていたと。

雅友:だとすれば、アニメソング全体が進化していくためには、一度そこに戻らないとダメなんじゃないかと、ずっと思っていたんです。しかも、アニメソングから抽出されたアニメソングというのは、結局「アニメありき」でしか存在できないじゃないですか。それって失礼だと思うんですよ、アニメに対して。

あくまでアニメ作品とアーティストは対等で、その対等なふたつがマリアージュしたときに作品性が広がることが、アニメとアニメソングのあるべき姿だと思うんですよ。ところが、現状はそうなっていない。そういう前提がまずあって、一度立ち返るなら、僕らのルーツミュージックまで遡ろうと。同時に一度、アニソンのセオリーから離れる必要があると。

―なるほど。それこそが、本格的な「アニソンの再構築」に繋がりますね。再構築どころか、新構築になり得る。

雅友:アニメソングを作る以上、作品側のイメージもあるじゃないですか。

―異能バトルアニメの『文豪ストレイドッグス』だから、ハードな“Reason Living”が似合う、みたいな。

雅友:そうそう。作品を無視して、急にブラックミュージックを持ち込んでも迷惑。作品との親和性を無視してまでやるべきことではないので、今までルーツミュージックをアニメタイアップに持ち込む機会がなかったんです。……という話を、僕がレコード会社のスタッフにプレゼンしたわけです。

:蕩々と。

雅友:まぁ、そうね(笑)。で、返ってきた答えが、「そういうことなら、アニメタイアップなしで、ミニアルバムという形でやってみたら?」という神対応(笑)。

:ありがたいことに。

雅友:絶対、嫌がられると思ったんですけどね。だって、ルーツミュージックをやろうと思うと、どうしても生楽器をメインにせざるを得ない。つまり……平たく言うと、お金がかかるんですよ。ミュージシャン代とかスタジオ代とかが、莫大にかかってくる。なかなかそんな望みは叶えられないものなんですが……なんせ神対応だった(笑)。

:神対応、強調しますね(笑)。

雅友:「アニソンアーティストなのに、ブラックミュージックで、タイアップなしでミニアルバムを出す」という斬新な企画が通って、『SOUL』を作れることになったという、業界的にも珍しい経緯があったんです。でもこれって、僕らにとってはかなりの「戦い」だったりするんですよね。

:うん、意味深い「戦い」ではありますね。

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リリース情報

SCREEN mode『SOUL』ジャケット
SCREEN mode
『SOUL』(CD)

2017年2月22日(水)発売
価格:2,700円(税込)
LACA-15633

1. SOUL
2. WHY NOT!
3. Liar
4. Interlude(Why do I love you so much?)
5. True Sweet Heart
6. Never say never end
7. Last Train

イベント情報

『SCREEN mode LIVE TOUR 2017 Spring “SOUL”』

2017年4月15日(土)
会場:愛知県 SPADE BOX

2017年4月16日(日)
会場:大阪府 OSAKA MUSE

2017年4月30日(日)
会場:東京都 渋谷CLUB QUATTRO

プロフィール

SCREEN mode
SCREEN mode(すくりーん もーど)

声優「林勇」と、サウンドプロデューサー「太田雅友」によるバンド。2013年結成。バンド名の「SCREEN mode」には、勇のボーカルと雅友の楽曲が混ざり合うことによって生まれた音の「SCREEN」を、様々な「mode」に変化させながらリスナーの心に焼き付けていきたいという想いが込められている。勇の圧倒的な歌唱力、そして雅友の確かなプロデュースワークから生み出されるサウンドは、時に感情的に、時に色彩的に、聴き手の心情とリンクして真っ白なスクリーンに情景を描く。

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