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【格闘技】

福原、故郷熊本で世界王座取った! 地震で被災…熊本のジムから初

2017年2月27日 紙面から

◇WBO世界ミニマム級暫定王座決定戦

 WBOミニマム級暫定王座決定戦12回戦は26日、熊本県上天草市松島総合センターで行われ、熊本市出身で同級2位の福原辰弥(27)=本田フィットネス=が同級1位のモイセス・カジェロス(27)=メキシコ=に2−1で判定勝ちし、暫定王者となった。戦績は29戦19勝(7KO)4敗6分け。カジェロスは33戦25勝(14KO)7敗1分け。日本のジム所属の男子世界王者は10人となった。主催者によると熊本での世界戦開催は1984年以来、33年ぶり。熊本のジムから初の世界王者が誕生した。

 勝ち名乗りを受けても、福原には笑顔も、涙も、勝利の叫びもなかった。被災をまぬがれた上天草市の体育館が響く大歓声と裏腹に、荒い息を吐きながら無表情に左拳を上げる。一進一退の打ち合いをフルラウンド続けた末の2−1判定勝ち。

 「相手はパワーもあって気持ちも強くて、だめかと思う瞬間もあったんですが応援のおかげで立っていることができました」

 最後の最後まで力を出し切る激戦だった。25勝14KOというカジェロスのパワーに中盤ペースを握られ、5回にはバッティングで左目に裂傷も負う。そこから、しぶとく粘った。7回に左ボディーで主導権を奪い返し、紙一重の勝利を手にした。

 昨年4月の熊本地震の瞬間は、熊本市内の自宅にいた。1週間近く避難所や公園での車中泊生活が続いたにもかかわらず、自宅へ戻ると、すぐに練習を再開した。断水は地震から約3週間続き、汗は友人宅や銭湯で流す日々。それでも、必ず世界チャンピオンになるという決意とともに、半壊した熊本城を横目にロードワークを重ねた。勝因のスタミナはそんな日々で培われたものだった。

 「熊本に明るいニュースと届けたかった。これからも防衛を重ねて、もっといいニュースを届けたいと思います」。福原は、これからも県民の思いを背負って戦い続ける。 (藤本敏和)

◆高山と統一戦

 今回の暫定王座決定戦は、WBO同級王者の高山勝成(仲里)が負傷の影響で戦列を離れているために実施された。暫定王者の福原は180日以内に正規王者の高山との統一戦が義務づけられる。

 <福原辰弥(ふくはら・たつや)> 1989(平成元)年5月8日生まれ、熊本市出身の27歳。164センチ。16歳で、本田フィットネスジムに入門。2008年4月にプロデビュー、15年11月に日本タイトル獲得。現在はゲームセンターの店員をしながら、ボクシングを続けている。家族は両親と兄、弟、妹。左ボクサーファイター、19勝(7KO)4敗6分。

 

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