偽作論争で韓国美術界最大のスキャンダルになっていた故・千鏡子(チョン・ギョンジャ)画伯の「美人図」(写真)が、収蔵庫にしまい込まれてから26年ぶりに一般公開される。国立現代美術館のバルトメウ・マリ館長は23日「美人図を直接見たいという韓国国民の要請が多く、これを隠しておく理由はこれ以上ないので、今年4月に美人図を公開すると決めた」と発表した。
1991年4月、国立現代美術館の「動く美術館」展示で初めて公開された美人図は、千鏡子画伯が「自分の生んだ子を忘れるはずがない。私の絵ではない」と主張したことで、20年以上も偽作論争に振り回されてきた。検察は昨年12月「科学鑑定の技法を総動員した結果、美人図は真作と判断される」として不起訴処分を下したが、遺族側はこの結果を受け入れず、抗告している。
「美人図」は、今年4月28日に国立現代美術館果川館で開幕する「所蔵品展:亀裂」で一般に公開される予定だ。「亀裂」展は、金煥基(キム・ファンギ)、劉永国(ユ・ヨングク)、朴寿根(パク・スグン)、ナム・ジュン・パイクなど20世紀の韓国美術史に画期をもたらした代表的な美術家100人の作品を展示する。ここに千鏡子のスペシャルセクションを用意して、「美人図」と、国立現代美術館が所蔵する千鏡子の作品「青春の門」(1968年)を一緒に展示する。マリ館長は「美人図を実際に見て、絵がとても小さいので(縦29センチ×横26センチ)びっくりした。論争の的になってしまった美人図の美術史的な立場を元に戻すことが、われわれの任務」とも語った。
「美人図」展示が無難に行われるかどうかは未知数だ。遺族側が「審議が確定していない美人図を公開展示するのは著作権侵害」と主張して対抗しているからだ。マリ館長は「法の枠組みを外れない線で展示が行われるだろう」と語った。ただし、著作権法に詳しい延世大学法学専門大学院の南馨斗(ナム・ヒョンドゥ)教授は「司法的に最終結論が出ていない状態での展示は、著作物が持つ姓名表示権を侵害しかねない」と指摘した。