米国も中国以上に「THAAD配置の合意」の進展具合に敏感だ。以前から「THAAD配置を受け入れるかどうかが韓国が将来、米国と中国のどちらの側にとどまるかを明らかにするリトマス試験紙」とし、中国の機嫌をうかがう韓国を冷静に見詰めてきた米国だ。そんな米国が、中国と心を通わせながらTHAAD配置を撤回する可能性を残す韓国の有力政党と大統領選挙の候補者たちを見詰めて「中国の肩を持つ未来の韓国」に懸念を抱かないとすれば、それこそ異常なことなのだ。米国のマティス国防長官が急いで訪韓し「THAAD配置を再確認」したのも、「韓米同盟は強力だ」という信頼よりは、むしろこうした懸念のためである可能性が高い。
そうでなくとも「もし北朝鮮の核ミサイルを前に在韓米軍を丸腰で滞在させるとすれば、100人が戦死しただけでも政権が揺さぶられる。こうした状況の中で、米国大統領がTHAAD撤回を受け入れるはずがない」というある米国情報関係者の言葉通り、米国がTHAADのような最小限の安全網もなしに在韓米軍を北朝鮮の核ミサイルの前に放り出すわけがないというのは常識だ。韓国の「サード配置撤回」は事実上、在韓米軍の撤収と同義語になる可能性が高い。
そして、それは在韓米軍で維持されている今日の安定と平和、そして朝鮮半島の戦略的均衡が全て崩壊するということを意味している。同盟の根本は信頼だが、韓国が米国と手を切って中国の排他的勢力圏の下に入るというのでなければ、この時点での「THAAD配置撤回」はむやみに取り上げるべき案件ではないのだ。