【甘口辛口】
■2月27日
何事も「刷新」には大きな期待が集まる。11回目を迎えた26日の東京マラソンは、終盤のアップダウンが消えJR東京駅前行幸通りをゴールとする平坦な高速コースに変わった。ペースメーカーが序盤から驚異的なペースで引っ張り、「ひょっとしたら世界記録が…」とテレビ中継に引き込まれてしまった。
スターターを務めた小池百合子都知事も前日「都議会にも新しい波が押し寄せていると、多くの方が感じられているのでは…」と、刷新への期待感を口にした。「都議会のドン」といわれた政敵、内田茂都議(前自民党東京都連幹事長)の今期限りでの議員引退表明を受けたコメントだ。
都議7期目の内田氏は闇の部分で大きな影響力があるといわれ、小池氏からは「ドン」が牛耳る都連の意思決定の過程を「ブラックボックス」と指摘されていた。77歳という高齢に加え、「代理戦争」といわれた自身の地元千代田区の区長選で自民推薦の新人が小池氏の推す現職に惨敗。さすがにこたえたらしい。
テレビに映るマラソンの背景で改めて見直した東京という世界に誇れる大都市に、まだこんな昔ながらの“古だぬき”がいて話題になること自体フシギでもある。「東京の未来」といった大命題より身近なことで頼りにされて何度も当選し、有権者がハッと気がついたときには国会議員もひれ伏す「ドン」になっていた感じだ。
小池氏率いる「都民ファーストの会」のように、いろんな職業の人たちが自らの経験をぶつけ合うのが都議会の理想型だ。選挙を商売にする人たちはもう結構。国内最高記録が出たマラソン同様、期待される都議会大刷新に「ドン」は逆の意味で貢献したのかもしれない。 (今村忠)