急拡大中!LINEの運用型広告「LINE Ads Platform」の基本から特徴まで徹底解説

LINEアプリの広告メニューは以前から準備されていましたが、最低出稿金額の高さからもLINE広告を利用できる企業はごく一部の大企業に限られていました。(LINE Timeline ADは当時で約1週間500万円※imp保証)しかし2016年3月、LINEの運用型広告であるLINE Ads Platformが発表され大きな話題となったことは記憶に新しいです。(2017年2月現在では、最低予算100万円〜(ネット価格・税抜)となっています。まだまだ誰でも気軽に…という金額ではないので、今後に期待したいですね!)

今回は、そんなLINE Ads Platformを紐解いて行くとともに、実際に多くのアカウントを運用してみて感じたことを解説していきます。

LINE Ads Platform とは

配信面


画像引用元:公開資料 | LINEアドセンター「LINE Ads Platform 2017年1-3月 」

LINE Ads PlatformはLINEのタイムライン、はLINEニュース上への2つの配信面から構成されています。

広告掲載フォーマット

2017年2月現在での広告掲載フォーマットは以下の三種類です。

  • WEB AD:外部ウェブサイトへの送客目的
  • APP AD:アプリのダウンロード促進目的
  • VIDEO AD:ブランディング目的 (※VIDEO ADはタイムラインのみ)


広告の構成要素は、Facebookのニュースフィードに表示されるフォーマットに非常に似た形式ですので、Facebookを使っている方、Facebook広告を利用している方などであればイメージがし易いかもしれません。

LINEニュースにおいては上記のように、イメージ+タイトル(アカウント名)の
形式でも配信がされています。他の広告ネットワークに配信されるインフィード広告のオーソドックスな形式ですね。

なぜLINE Ads Platform が注目されているのか?


画像引用元:2016年12月期第4四半期 決算説明会資料 ※PDF

2016年12月期第4四半期の決算説明会資料から、LINE広告の中でもパフォーマンス型広告の売上比率は急拡大しており、事業として大きく成長していることが伺えます。では、なぜLINE Ads Platform が注目され、急成長という結果につながっているのでしょうか?
※直近のQ3’16からQ4’16にかけての伸びは鈍化していますが、これはLINE Ads Platformは特定の広告代理店(弊社もその一つです^^)を通さない限り配信されないためと考えられます。Google アドワーズやFacebook広告などのようにユーザーが自由に配信できる形、いわゆる勝手アカウント方式(セルフサービス式)を仮に取ることがあれば、この伸びは急激に早まると考えられます。

LINE上でしかアプローチできないユーザー層

LINE広告は新規獲得率が高いという評判を耳にすることが多くありますし、それは弊社のデータからでも明らかです。それは、LINEのタイムラインにはMAU5,300万人以上の利用ユーザーがおり、その中にはFacebookやTwitterなど他のSNSではリーチ出来ないユーザー属性に対して広告を配信出来ることが一つの要因と考えることができます。

高いアクティブ率

LINEは、友達や家族など親密な間柄のユーザー間のコミュニケーションアプリであることから、月間のアクティブ率(MAU)は96.6%と他のSNSの月間のアクティブ率(Facebook:56.1%、Twitter70.2%)よりも圧倒的に高い数値となっています。更に、日間アクティブ率(DAU)は71.0%にも昇り、コミュニケーションアプリの性質を考えると当然ではあるものの、そのアクティブ率の高さは驚異の数値です。

参考:公開資料 | LINEアドセンター「mediaguide_LINE_2016_10_2017_03」
参考:【最新版】2016年12月更新! 11のソーシャルメディア最新動向データまとめ

ネイティブアドネットワークのHike(ハイク)への配信も可能

また、LINE Ad Platformを通して、LINE外のメディアに1000以上の配信先を持つ、ネイティブアドネットワークのHike(ハイク)にも広告配信を行う事ができます。

実際に運用してみた所感を申し上げると、無料登録や資料請求など比較的ライトなコンバージョン指標をもつ商材でのダイレクトレスポンスでの費用対効果が合いやすい印象です。まだまだ安定した成果を出せるというわけではありませんが、ビジネスによってはリスティング広告のCPAとは比べ物にならないほど安く取れるケースもありますので、LINE面と併せて、まずは配信にチャレンジすることをオススメします。

Facebook広告のオーディエンスネットワークも同様ですが、メインのプラットフォームの独自のデータをどこまで活用していけるか今後の動きにも注目したいですね。

配信時の機能・ターゲティング

LINE Ads PlatformとHikeのターゲティングは、それぞれの配信面により出来る事が異なります。アカウント構築の際に迷う事も多いかと思いますので、上記をご参考にして頂けましたら幸いです。

広告出稿を行う上での注意点

最後に、これからLINE Ads Platformにて広告出稿を行うにあたり、いくつか注意点がありますので、特に出稿をご検討されている方はご確認頂けますと幸いです。

広告出稿には下限予算あり

LINE面、Hike面の広告出稿には、下限予算があります。具体的には、Hike面のみであれば30万円~、LINE面を含めると100万円~となっていますので、出稿をご検討されていらっしゃる広告主さまはご留意ください。(※上記金額はネット・税抜きの総額です。)

配信ロジックにより最低⼊札価格に倍率が掛かる


基本的に課金のタイミングはクリック課金(動画配信の場合はインプレッション課金)ですが、リスティング広告やFacebook広告などを筆頭とする運用型広告と大きく異なる点として入札価格には下限が設けられているという点です。

上記の表では、リターゲティング配信を行う場合は通常配信の24円に対し、2.0倍の48円が最低入札価格となります。さらに、その最低入札金額はターゲティングの組合せによって異なってきます。例えば東京在住の女性にのみ限定したクリエイティブを配信したい場合、54円(24円×1.5×1.5)となります。

他の運用型広告においては当たり前に安く配信できているターゲティングも、LINE Ads Platformにおいては最低入札単価の概念が入ってくることで割高のクリック単価となってしまう場合も考えられます。事前に確認しておきましょう。

必ず広告掲載出来るとは限らない

「予算は確保した、さぁいざ広告配信だ!」とはやる気持ちもわかりますが、次に注意しておかなければならないことは、LINE Ads Platformは別途審査があり、必ずしもどんな商材でも活用出来るわけではないという点は留意しておく必要があります。特に、化粧品や健康食品など特定のビジネスにおいては、それ以外の業種とは異なった審査基準もあるようで、かなり厳しく見られているため審査通過のハードルは低くはなさそうです。参考までに、NG業種・NG商材を掲載しておきますので、事前にチェックしておくとよいでしょう。

NG業種・商材

• 宗教関連(魔除け関連、霊感商法霊視商法、神社仏閣等)
• コンプレックス商材 (⼀部除く)
• 健康⾷品(⼀部除く)
• 通販コスメ(⼀部除く)
• エステ(⼀部除く)
• ギャンブル関連、パチンコ等(⼀部公営くじ除く)
• アダルト(成⼈対象の性的な商品サービス等のアダルト全般、性的表現が扱われている作品サービス、児童ポルノを連想させるもの等
• ⻘少年保護育成上好ましくない商品サービス、精⼒剤、合法ドラッグ等)
• 出会い系(インターネット異性紹介事業、結婚相談、お⾒合いパーティー等)
• 無限連鎖講、MLM
• 探偵業
• 家政婦、介護サービス
• たばこ、電⼦タバコ
• 産経⽤品(避妊具、⼥性⽤体温計)
• 武器全般、毒物劇物
• 総務省の定める政党要件を満たしていない政党
• 公益法⼈、NPO/NGO、社団法⼈(⼀部除く)
• ⽣体販売
• 葬儀葬祭業
• 医療系、美容整形系、ホワイトニング、病院・クリニック、特定疾患の啓蒙サイト
• 消費者⾦融(⼀部除く)
• カードローン(⼀部除く)
• 医薬品の場合で、LINE公式アカウントのNG商材にあたるもの
• 不動産投資
• ⾦融投資、FX
• クラウドファンディング
• オークション、⼊札権購⼊型オークション
• マッチングサイト(⼀部除く)
• ポータルサイト、掲⽰板
• 情報⽐較サイト
• ポイントサイト(ポイントサービスを主体としたサイト)
• 弊社競合サービス(メッセンジャーアプリ、SNSアプリ、ニュースキュレーション、ゲーム、⾳楽アプリ等)

参考:公開資料 | LINEアドセンター「LINE Ads Platform 2017年1-3月 」

最後に

LINE Ads Platformリリース当初から現在まで、筆者本人が運用してみた所感としては、今はまだリスティング広告やFacebook広告のように、多種多様なターゲティングができる訳ではなく調整できる要素が限られていたり、ターゲティングの組合せによって最低入札単価が変動するなど、他媒体にはない特性があるため、やや扱いにくい媒体な印象はあるものの、前述したとおり、他の媒体にはない新規性などを考えると、今後必要不可欠な媒体になっていくだろうと考えます。


また、今後のLINEにおいて目が離せないのはアジア圏におけるビジネス展開で、月間アクティブユーザー数は台湾、タイ、インドネシアの3カ国で日本を大きく上回る規模感があります。2016年12月期第4四半期では売上の比率は全体の27%に留まっていますが、既に多くのユーザーを抱えている台湾、タイ、インドネシア市場において大きな可能性を持っており、言語対応が複雑なアジア圏で今後どこまで成長していくかも今後注目のポイントです。

今後の開発により、LINE Ads Platformで出来ることはますます増えていくでしょうし、運用型広告業界の流れからすると将来的にはデータフィードとの連携なども充実していく可能性が高いです。そのときには、ともすると今の運用型広告の情勢を覆すような、大きな存在になっているかもしれませんね。総合的に見てLINE Ads Platformは大きな可能性を秘めた媒体であることは間違いありません。今後の展開にも引き続き注目していきます!

Koichiro Hayashi

Koichiro Hayashi

アナグラム株式会社 運用型広告エキスパート。 大学卒業後、金融機関にて融資・渉外業務に従事。その後、ウェブコンサルティング会社にて宿泊施設に対するリスティング広告の新規導入・運用業務に従事した後、2014年よりアナグラムにて様々なプロジェクトに携わる。広告運用はもちろん、新規のお問い合わせ対応、時には打ち合わせと称した飲み会などを行っている。