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警察官クビになってからブログ

クソ人生の人へ「ダークファンタジー」

倒産寸前のブラック企業が『新興宗教』に営業をかけた話④

天国に一番近い会社編

 

🔻コチラの話の続きになります。

www.keikubi.com

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社長との通話は・・・しばらく沈黙が続きました・・・。

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社長が黙ると、

電話越しに女性達の楽しそうな笑い声がよく聞こえます。

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社長は・・・・

今日もいきつけの店で、朝まで飲んでいるのでしょう。

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数秒間の沈黙の後、

「絶対に契約をとってこい・・・。」

社長はそう唸るように呟くと、プツッと通話を切ってしまいました。

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(どうする・・・どうしよう・・・?)

 

私は携帯電話を見つめたまま、凍りついてしまいました。 

 

横にいたマルには通話の内容が聞こえていたようです。

不安そうな顔をしてコチラを見つめています。

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 たった今・・・・

お客様の怒りを懸命の謝罪で解いた所なのに・・・・。

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しかし・・・・

 

我が社の神は「契約」を望んでおられる。

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そりゃぁ・・・こんな状況ですから、

私にも色々と思う所はあります・・・。

 

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(こんな時間まで営業して相手に迷惑だろう)とか

(クレームで謝罪したばかりの相手に営業って失礼だろう)とか

(疲れた・・もう帰りたい・・・)とか

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そう・・思ってはいたのですが・・・・。

しかしそれは全て私の「私情」に他なりません。

 

神のご意向に従うのが信者の務めだ・・。

 

「やれ!」と言われたら・・・やるしかない。

 

私は与えられた使命を真っ当するしかないのです。

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その先に何が待っていようとも・・・・・。

 

そこでハッとして我に返ります。

突然考え事をしてボーッとしてしまうのは

私の悪いクセです。

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どの位かわかりませんが、

数秒間固まっていたようです。

 

(みんな怪訝そうな顔をしている・・・。)

 

私は反射的に出来る限りの笑顔を作りました。

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エヘ。

 

そして私は作った笑顔を崩さず、

カバンから資料を取り出しつつ、

「お詫びと言っては何ですが・・・

  一つ良いご提案をさせて下さい。」

と営業を切り出しました。

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地獄のはじまり

「いいよ!時間も時間だから帰ってくれよ?」

 

院長夫婦は本気で嫌そうな顔をしています。

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「そういうワケにはいきません!」

私は必死に食い下がります。

 

院長親子は・・・目に見えてイライラしています。

 

「いま何時だと思ってるんだ?」

「お前達は何しに来たんだ?」

「常識を考えろ!」

 

院長親子から私にガチガチの正論がバシバシ撃ち込まれます。

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ドンドーンッ・・・・・散弾銃のようだ。

 

しかし何を言われようとも、

院長親子がどんなに嫌がっても、

絶対に帰るワケにはいきません。

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私は必死にお願いしました。

「お願いします!話だけでも!」

「お願いします!」

「お願いします!」

「お願いします!」

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「ふざけるな!」

 

お願いを、すればする程、

院長親子はカンカンに怒ってしまいます。

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(ああ・・・やっぱり・・ダメか・・・・・・)

 

時刻は深夜0時すぎ、

クレーム対応に来たハズの営業マンが、

突然営業を始める・・・・・。

 

ダメに決まってますよね?

 

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だから私は・・・・・

 

院長親子の話を無視して、

強引に営業活動を開始しました

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(絶対に契約をとってみせる・・・。)

困惑する院長親子

気がつけば・・・私が話しはじめてから、

時刻は深夜1時を回っていました。

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我が社が扱っている商材は30種以上あったので、

話すことだけは山程ありました。

 

院長親子は、話の途中に何度も何度も

「頼むから帰ってくれ!」

と懇願してきました・・・。

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何を言われても「帰りません」(帰れません)

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(そう・・契約をとらなければ、帰れない・・・。)

 

マルは・・?

 

顔を歪めて、ずっと硬直していました。

 

ああ・・・かわいそうに・・・・・

こんなにオカシイ人間を見たのは初めてだったのでしょう。笑

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深夜の2時を回る頃には、

いつの間にか院長親子も、

下を向いたまま微動だにしなくなっていました。

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 それでも私は営業を止めません。

 

そんな 私の行動は

明らかに異常者のソレでした。

 

きっと院長親子も

(コイツには何を言ってもムダだ・・・)

そう思っていた事でしょう。

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モチロン自分でも、

自分のやっている事がおかしい事は、わかっていました。

 

しかし倫理的におかしかろうと、

異常者と思われようと、

私が与えられた役目から背を向ける事は出来ないのです。

 

そう・・なぜなら・・・・

私はブラック企業を崇拝する

「盲目な信者」なのですから・・。

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それでも営業の途中で、

もしかしたら、「もう帰っていいぞ!」と言われる事を期待して、

2度ほど社長に状況を伝える電話を入れました。

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私の姑息なココロが垣間見えます。

 

しかし、電話に出た社長は

「こういう条件にしていいから契約をとれ!」

「契約をとらずに営業マンが帰るんじゃねえ!」

と変わらず

「絶対に契約をとれ!」と言ってくるばかりです。

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もう社長はろれつが回っていない・・・

 

だいぶ飲んでいるようだ。

 

それでも・・・・

社長に「やれ!」と言われると、

「もっとがんばらなければ・・」そう思えてきました・・・

たとえそれが、どんなに間違った事だとしても・・・。

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深夜3時頃

マルが急に口を開きました。

「あの・・トイレをお借りしまッす!」

 

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そう言ってマルは、院長親子の返事を待たず、

小走りで部屋を後にしました。

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マルは・・・・

それっきり戻っては来ませんでした・・・。

 

マルは何から逃げたかったんだろうか?

 

宗教団体Dから?

ブラック企業から?

それとも狂ったように営業を続ける私から?

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全部かな?ハハハ・・・

 

・・・マルとはそれっきり、

2度と会うことはありませんでした。

 

そして、警察が来たのは・・・

マルが出ていった直後の事でした。

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 つづく

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