地震古文書、みんなで解読 京都大研究者らアプリ開発
地震関係の古文書に記された崩し字を活字に起こすプロジェクトを、京都大の研究者グループが始めた。過去の記録を地震の研究に活用しやすくするのが狙い。活字化した内容を記録するためのアプリケーションをインターネット上に公開して市民の協力を求める方法で、「地震や古文書に興味のある人は是非参加してほしい」と呼び掛けている。
プロジェクトを立ち上げたのは、地震学が専門の中西一郎理学研究科教授や加納靖之防災研究所付属地震予知研究センター助教、文学研究科の大学院生で文献のデジタル化などを研究する橋本雄太さんら京大古地震研究会のメンバー。
過去の地震の発生日時や場所、規模などのデータは、今後起こる地震の長期的な予測などに用いられる。ただし、日本の古文書に記された記録は崩し字がほとんどで、地震学の研究者がそのままでは利用しにくいために活字化を考えた。
開発したアプリケーションは「みんなで翻刻(ほんこく)」と名付け、ネット上で公開している。東京大地震研究所が所蔵する江戸時代を中心とした地震関係の古文書114冊を閲覧しながら、市民が活字化して保存する。クイズ形式で崩し字を解読する機能も付いており、古文書になじみのない人でも学びながら作業ができる。南海トラフの巨大地震である安政東海地震(1854年)の際の山崩れの様子などについて書かれた冊子もあり、作業を通じて地震に関する知識も得られる。
加納助教は「過去の地震に関して新たな発見やデータの間違いが見つかるかもしれない。古地震研究の新しいかたちにしたい」と話している。「みんなで翻刻」のホームページはhttps://honkoku.org/
【 2017年02月26日 21時00分 】