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【社会】横浜避難者いじめ 市教委、議事録作らず 外部の検証困難
東京電力福島第一原発事故で福島県から横浜市に避難した男子生徒(13)のいじめ問題で、いじめを見逃した原因や改善策を話し合う市教育委員会の内部組織「再発防止検討委員会」が、会議の議事録を作成せず、録音データも消去していたことが分かった。会議は非公開のため記録の保存がなければ、適切な検証が行われたかどうか外部から確認できない。 (志村彰太) 生徒へのいじめは小学二年から始まり、五年の時は百五十万円とされる遊興費を負担させられた。昨年十二月十五日に設置された検討委は当時の学校関係者らに聞き取りした上で再発防止策などをまとめ、三月に公表を予定する。 文部科学省など外部からは、防止策が適切か公表前に意見を聞くとしているが、議論には市と市教委の職員しか参加しない。このため、保護者側は「内部だけで議論すると身内に甘くなる。できるだけ会議を公開すべきだ」と求めていた。 本紙は検討委での議論内容を知るため、一月二十七日、同日までに開かれた四回分の会議について、議事録と録音データなどを情報公開請求した。 二月二十日までに一部が開示されたが、一回につき三時間の会議をA4用紙それぞれ一枚にまとめた「議事概要」だった。内容も「学校内の情報共有と組織的対応の在り方を議論」など曖昧だった。また録音データの初回から三回分は議事概要作成後に消去され、四回目のデータは残っていたものの「録音から個人情報を除くことは困難」として、すべて非開示とされた。 検討委の事務局で市教委の古橋正人(まさひと)総務課長は、議事録を作成しない理由を「作る時間もなく、議事概要で十分と考えていた。録音は議事概要があれば消していいと考えた」と説明。本紙の指摘を受け、「録音の保存や議事録作成を検討する」と話した。 いじめに長期間対応しなかった理由には、保護者と学校側で言い分の食い違いがあり、保護者は担任らを再調査し、事実関係の解明を求めている。だが、市教委の小林力(つとむ)教育次長は「検討委では事実関係の整理はしない。再発防止策を話し合うのが役割」と話す。検討委で担任への聞き取りはしているというが、議事概要にその内容は記されておらず、どこまで踏み込んだ調査が行われているのかは不明だ。 ◆記録なし さらに信頼失う<NPO法人情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長の話> 市教委は会議の記録を残し、責任の所在を明確にする必要がある。記録を残さないことは、情報公開請求に対する防御策とも考えられ、市教委はさらに信頼を失うことになる。 PR情報
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