北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム)氏が猛毒のVXによって殺害されたことが明らかになる中、容疑者のベトナム国籍の女性、およびインドネシア国籍の女性が、どのように素手で正男氏を攻撃したのかという点をめぐって疑問が持ち上がっている。マレーシア警察は、2人の女性が素手に毒物を塗り、前後から正男氏の顔に擦り付けたとコメントした。
専門家らは、「VX化学弾」の製造原理が適用された可能性もある、と推定している。完成品のVXを使うのではなく、混ぜればVXになる2種類の化学物質を2人の女性の手に分けて塗り、正男氏の顔に擦りつけて混ぜ合わせたというのだ。北朝鮮の生物・化学兵器部門の高官だったイ・ナムテク高麗大学生物科学部生物防御研究所副所長は「VXは非常に猛毒なので、これを利用して『VX化学弾』という化学兵器を作るときは、味方が危険にさらされるのを防ぐため『二元化弾』を作る。弾頭に『硫黄』と『QL』という化学物質を別々に詰めておき、目標に到達した砲弾が破裂した際、この2つの物質が混じってVXに変わるというもの」と説明した。この化学兵器のように、2人の女性容疑者がそれぞれ別の化学物質を手に塗って正男氏の顔面で混ぜ、VXという猛毒が作り出されたということもあり得るのだ。毒性学が専門の洪世鎔(ホン・セヨン)順天郷大学教授も「硫黄のような物質は、VXとして結合する前は、あまり毒性を持たない。この化学物質を別々に手に塗って、決定的な瞬間に擦りつけて混ぜたとみられる」と語った。
VXは極めて毒性が強いが、傷がない皮膚に少量、一時的に付着した程度なら死ぬほどではないという意見もある。手にちょっと付いた程度なら、トイレでせっけんを使って洗い落とせるという。ソウル大学医学部法医学教室のユ・ソンホ教授は「VXが手のひらにちょっと付いたという程度では、簡単には死には至らない。正男氏を攻撃する際には(マレーシア警察が明らかにしたように)目に集中攻撃を行い、毒が急速に広がったということもあり得る」と語った。
専門家らは、VXは解毒剤が開発されていることから、注射剤やローションタイプの解毒剤をあらかじめ持っておいて、VXに暴露した直後に措置を取った可能性もあるとみている。