北朝鮮制裁決議違反の文在寅氏発言に批判殺到

「南のコメと北のレアアースを交換」

 韓国の最大野党「共に民主党」の前代表で、現在次の大統領選挙で最有力候補とされる文在寅(ムン・ジェイン)氏が22日「韓国の米と北朝鮮のレアアースなどの鉱物資源を交換しよう」と発言したことについて、与党はもちろん野党からも批判の声が上がった。理由は文氏のこの提案が国連安全保障理事会による北朝鮮制裁決議に違反することになるからだ。これに対して文氏側は「発言の前後の内容を省略した政治攻勢だ」などと反論している。

 文氏は京畿道安城市で22日に行われた農業関係者との意見交換会で「われわれが北朝鮮に米を輸出し、北朝鮮が保有する地下資源やレアアースと交換すれば、韓国における米の在庫問題を解決でき、同時に地下資源やレアアースを国際相場よりも安く購入できる道が開かれるだろう」と発言した。しかし国連安保理は北朝鮮が4回目の核実験を行った直後の昨年3月に北朝鮮制裁決議2270号を採択しており、その第30項で北朝鮮の金やチタンなどの鉱物資源やレアアースなどの取引を全面的に禁止している。韓国外交部(省に相当)の関係者も「輸入であれ物々交換であれ、これらの鉱物資源を北朝鮮から持ち込むこと自体が国連決議違反になる」と指摘する。安保理決議は国際法と同じ効力を持ち、違反した場合は国連安保理次元での制裁を受ける。

 文氏の発言が伝えられると、与党はもちろん野党からも文氏を非難する声が上がった。与党・自由韓国党の鄭宇沢(チョン・ウテク)院内代表は24日に開催された党内の会合で「国連安保理決議に違反する危うい発言だ」「危険な北朝鮮観を持つ文氏には大統領の資格がない」などとして文氏を批判した。鄭氏はさらに「中国でさえ国連決議を守るため北朝鮮の輸出全体の40%を占める石炭の輸入を全面的に中断した。ところが大韓民国の大統領になりたがっている人物が、国連決議に穴を開けるような発言をするのはいかがなものか」とも指摘した。保守系の野党「正しい政党」の鄭炳国(チョン・ビョングク)代表は「文氏の発言は完全に票を意識したものだろうか、現実をしっかりと認識して責任ある内容を語るべきだ」と指摘した。同党の大統領候補とされるユ・スンミン議員は「対北朝鮮制裁という観点からも国連安保理決議は当然遵守すべきだ。そのためその点を主張するよりも、THAAD(米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル」)や核ミサイルへの対応などについて語った方が国民も安心するはずだ」と述べた。

ヤン・スンシク記者 , ウォン・ソンウ記者
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